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「げんしけん」になれなかった、オタクサークルで見たしょうもないオタクたちの恋愛話



失恋手帖

 

23日の文フリにて「失恋手帖」という合同誌に寄稿しました。詳細はここで。

  僕は別に編集者でもなんでもないので完全にアウェイ。くじ引きとかで人選したんでしょうか。書いた内容はこんな感じです。

 それはともかく、今回オタクと失恋について書くにあたり、自分が中退するまで半年間通っていた大学でのオタクサークル話を思い出したので、その時の想い出でも書きます。 みなさんも是非、何とも言えない気持ちになってくださいね。

げんしけん」になれなかった、オタクサークルで見たしょうもないオタクたちの恋愛話

 実は僕にも僅かながら大学生だった時代がありまして、夏休みに突入するまでは週1.2日くらいは通っていました。土曜に至ってはジュエルペットプリティーリズムがあるので一度も講義に出なかった。夏休み明けには微小ながらもあったやる気が完全に消沈し、即中退からの無職生活ですが。

 自分は大学生になるまで一切沖縄から出たことがありませんでしたので、都会で鍛えられたオタクがどんな精鋭なのか期待に胸を膨らませ上京しました。

 都会のオタクから、高橋良輔作品をボトムズしか観ていない事を指摘されたらどうしよう……と、冬休みや春休みをダグラム・ガリアン・レイズナーの視聴で潰し、暇さえあれば美少女ゲームに耽る日々。受験勉強なんてする暇ありません。

 

 そんな田舎ボーイも念願叶って大学生へ。家から大学が近くだったことや沖縄出身という目立つ特徴もあり、まだ上辺だけながらもある程度の人間関係は発生したものの、そういった大学生らしい活動はいいから早くとびっきり強い都会のオタクと戦いてぇという闘争心だけが逸る。

 取り敢えず同学年で目立つデブに話しかけてみたところ、案の定オタク。こんなオタクっぽい見た目で本当にオタクという捻りの無さがポイント高し。しかし「家にライトノベル一万冊あるよ」という、しょうもない虚言が飛び出し、話を合わせるのがキツくなってきたので撤退。哀しい。

 

オタサー

 そんなこんなを続けているうちに、所謂オタサーへ入るという事に気づきます。遂に憧れていたげんしけんの世界が!

 早速、漫画研究会へ足を運ぶと、またしても一目でオタクとわかるデブ(先ほどとは別のデブ)が話しかけてきます。この大学にオタクでないデブは存在しないのでしょうか

 同じ大学一年生ながら入学して即このサークルに入ったという彼は、既に同人イベントに参加した事があるという期待株。沖縄では同人作家なんて滅多にいませんので、素直に感動。同人即売会なんてこみっくパーティーでの知識しかありませんし。

 このデブは一味違うぞと話を聞いてみると、段々とコスプレイヤーをしている彼の恋人の話へシフトしていき、遂にはガラケーから彼女と思わしきレイヤーの写真を見せてくるのですが、これまた太っているんですね。

 コスプレ広場らしき場所を背景にグレンラガンのヨーココスした恰幅の良い女性の写真を、目を輝かせて自慢してくるデブ。もしかして都会にはデブしかいないのか? と辛くなってきたところで、「今度、オレ彼女とグレンラガン本出そうと思うんだよね」と追い打ちがかかる。

 この時点で謎を食い尽くして一切相手に興味を失ったネウロのような状態でしたが、精一杯会話を円滑にするため「ロボアニメとか好きなの?」と訊くと、「まあ好きだよ、グレンラガンと返ってくる。お前はグレンラガンが世界の全てだと認識しているのか。このあたりで撤退。

  冴えないオタク同士のゴタゴタを描いた名作ヨイコノミライとはまた違う、オタサーのしょうもなさを垣間見てがっくり。「ヨイコノミライ」は名作中の名作ですので、未読の方はこの機会にでも是非。

 

オタサーにすらなれない者たち

 まさか初手でオタクの恋人自慢が始まるとは……と驚きつつ、次にオタクが集まりそうな場所を探していくと、僕と同じガリガリ寄りのオタクに誘われ「文化祭実行委員」へ。

 建前としては文化祭を盛り上げるため準備なり運営をする集まりなのですが、文化祭と関係ない時期はただの遊び場に。彼はそんな文化祭実行委員で唯一の男性。ハーレム漫画ですね。

 部室には女性が5.6名に異様にニヤついている彼と僕という状況。ニヤつく彼は「この前、このメンバーでカラオケ行ったんだよね。オレは嫌だったんだけど先輩がどうしてもって誘ってさ。人生初の女性とのカラオケ 笑」と心底どうでもいい話を展開。カラオケ一つの想い出で盛り上がり始めた部室に、なんとなく「あぁ……オタサーにも馴染めなかった人間の憩いの場なんだな」と察する。今思えば、このハーレム環境を自慢したかっただけかも知れません。

 

 ざっと見渡すと、一人だけ容姿に気を使ってそうな女性が。読んでいる漫画は「青のエクソシストでオタク丸出しですが、比較的コミュニケーションが取りやすそうで彼女と話してみることに。

 好む作品の傾向から腐女子だった訳ですが、それだけにオタク話がまぁまぁ盛り上がる。「全然オタクには見えないので意外です」とお決まりな社交辞令を展開してみると、「えぇ~!? ホントにわたしオタクに見えませんか!?」と予想外に素直に喜ぶ様がかわいい。

 このあたりで嫌な予感を覚えてきたので一度撤退。紹介してくれた眼鏡の彼が送ってくれるのですが、案の定僕に敵意剥き出し。彼が想像していた以上にテリトリーを荒らしてしまっていたらしく、「あの女の人はオレが好きな先輩だから手を出すなよ」と忠告が飛んでくる。助けて……。

 この時の発言が脳裏にこびりつき、今でもスマブラDXでファルコが「オレの獲物に手を出すな」とアピールする度に、彼の腐った魚のような目で睨まれた瞬間を連想します。

 

 結局、彼の言いつけ通り実行委員には近づかず、それどころか大学すら行かずにダラダラ暮らしていると(このあたりで前に書いた岡島くんとの生活が始まる)、

 

ある日ふと思い立って再び大学へ。

 ラノベ1万冊所有デブや漫研のデブはともかく、文化祭実行委員がどうなっているかだけ気になり、彼の下へ訪ねてみると、勇気出して人生初の告白をしてみたものの、どうやら彼女は入部時点で既に彼氏が居たらしく振られてしまったとのこと。

 まぁ一人だけ小奇麗だったしそんなもんだよと適当に話していると、「じゃあ、部室に居る間はオレの彼女って事で振る舞ってよ」と頼んだらしく、もう何もかも終わりだと悟って帰りました。結局、それ以降の部室がどんな空気で進んでいるのかだけ気がかりでしたが。

 

 こうして考えると「げんしけん」って本当にオタクの夢が詰まっているんだなぁとしみじみ。帰宅後、岡島くんがオタサーに見学したときの話も聞いてみると、「膝に乗ってきてニャアニャア言い出すロリータ服の女が居た」と言われて、それはそれでキツいなぁ……と。後の「オタサーの姫」という概念に回収されます。

 

  オタクとして生き続けると、どんどんこういった何とも言えないアレがアレしていきます。きっと、これからもインターネットなどを通して沢山見ていくことになるのでしょう。

 「失恋手帖」には書かかなった、オタクのしょうもない失恋話でした。