伊藤潤二作品に登場する可愛いキャラランキング
明日、ホラー漫画家への貴重なインタビュー漫画である「怪奇まんが道」が発売されます。
「エコエコアザラク」の古賀先生、ホラー好きでなくとも一度は読んだことある本があるであろう日野日出志先生、「不思議のたたりちゃん」の犬木加奈子先生、そして伊藤潤二先生の創作秘話が語られます。
個人的は、呪みちる先生の話も読んでみたかったですが、それでもホラー漫画界を引っ張ってきた有名作家揃いで、ホラー漫画好きとしては必須アイテムとなるでしょう。
前置きはここまでにして、僕は伊藤潤二先生の大ファンです。伊藤潤二先生の描くホラーとギャグの紙一重感は、他の漫画では例を見ないオンリーワンの輝きを放ちます。
例えば「父の心」よりこのページ、
突然気が狂った一輪車の男の子が深夜の道路に倒れ込みますが、この男の子なんとこのまま倒れた状態で車に轢かれて死にます。このシュール感が堪らなく大好き。
さて、上の画像を見てもらった読者には伝わったと思いますが、伊藤潤二先生、画力が恐ろしく高いです。流石はホラー漫画家の大御所、画から伝わってくる緊張感が違います。まぁ上の画像ではただのギャグ漫画ですが。
そんな潤二先生が描く女性はとても美しい。
主流の美少女絵とはまた違った可憐さを感じさせます。ホラーだけあって、どこか病的で影を感じさせる少女らしさは流石の画力。
そんな潤二先生が描いた美少女を勝手にランキングにしてみました。潤二作品の大ファンならもうお解りでしょうが、流石に一位はあの人です。。
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■10位
それでは、10位から……
路地裏より、「忍ちゃん」。
やはりミステリアス感が違うのでしょうか、潤二先生の作品では非常に多くの黒髪ロングキャラが登場します。そして大抵死にます。
さて、では忍ちゃんはどうでしょうか。
忍ちゃんは可愛らしい中学生。下宿に来た青年にもご飯をよそったり、引っ越しの荷物整理を手伝ってくれる優しい少女です。
が、彼女この時点で実の父含め既に5名殺しています。
散々殺人を働いておいて「命って大切だもの……」と澄まし顔で呟くのが最高です。更に彼女、死体を家の隣に埋めておく上に、毎晩聞こえる死者の恨み言を一切気にしません。メンタル強すぎる。
先程の下宿人も「かたづけちゃお」程度で処理するサイコっぷりに加え、自分もうっかりミスで罠にハマり抜け出せなくなるというドジっ子っぷり。
ストーリー自体のシュール具合やホラー感、そして殺人に対して抵抗も後悔もない倫理観とオチから彼女をランクインせざるを得ませんでした。
■9位
次は9位……
アニメにもなったギョから「華織」。
この漂うエロスと我儘な態度がいいですね。このやり取りの後もキスを迫る彼氏相手に、ブチ切れて沖縄旅行中なのに「言われなくても帰るわよ!」と飛び出します。初期のおんぷちゃん並の我慢弱さです。
主人公も慌てて「ハブに噛まれるぞ!」と謎の心配して追いかけてきますが、多分彼女は彼氏が来なければ本当に東京に帰ってたでしょう。
しかし、主人公も只者ではありません。色々あってショックで倒れている華織ちゃんに向かって「俺……さっき歯磨いたよ」とまたキスを迫ります。しかし臭いに反応して彼女は拒否……。結局二人が作中でキスすることはありませんでした。
そんな華織ちゃん、最後は紆余曲折あって自立歩行兵器になってしまいます。潤二ワールドに平穏なんて存在しないのでしょうか。
ラストまで臭いの事を気にするカップル。台詞自体はシュールなのに感動を呼ぶのが潤二先生の凄さですね。ギョの終盤は長期連載飽きてきてるな感が伝わってくるのも含めて大好きです。
■8位
双一シリーズから「路菜」。
潤二作品には珍しく健康的で明るい少女らしい少女です。彼女の魅力は容姿ではなく、その歳相応の活発さですね。画像の上側は成長した姿ですがとても魅力的です。
矢張り彼女は双一に振り回されてこそ輝く。逆恨みで触手プレイされたり、泥まみれにされたりと散々です。
けれども彼女はへこたれません。毎回双一相手にもめげずに立ち向かい、何度も双一を自滅させては平和を勝ち取ってきました。時折根暗な双一を気に掛けたりしているのが天然の優しさを感じさせて良いですね。
そんな彼女と双一の一番お気に入りエピソードがこれ。
双一の策略により、死んだ筈のおばあちゃんと弟にレイプされそうになるのですが……
自分のために路菜が用意してくれたケーキを見つけ、双一が文句を言いつつも二人を消滅させてあげる話。悪魔の申し子である双一だって路菜ちゃんの優しさには敵わないみたいですね。これ、どちらかと言えば双一がかわいいのでは。
■7位
蔵書幻影より「香子」。
彼女は一話の短編で使うには勿体無いほど美人ですね。この「蔵書幻影」は、何万冊もある蔵書を管理する夫が本から生まれた幻影と闘う話なのですが、
夫の妄言に対して、心底「は?」って顔するのが堪らない。
それ以外でも夫が狂い始めても常に傍にいてあげる良妻っぷり。こんな十数万冊ある本のうち一冊なくなっただけで、すぐ気づいて発狂する男とさえ結婚しなければ間違いなく幸せになれただろうに……。
最終的に蔵書に嫉妬して火を放った後の儚い表情も麗しい。この話自体が傑作ですし、文句なしのランクインです。
■6位
怪奇ひきずり兄妹より、「引摺成美」。
見ての通りツイッター探せば簡単に見つかりそうなメンヘラ女なのですが、家族はもっとおかしいので、成美と同棲していた男をどう殺すか話し合いが始まります。
「もっと現実的に考えろ」と注意した次の案が、「首と胴体を引きちぎる」なのが最高にロック。
そんなアホ兄妹たちに呆れた成美は、またしても死にたがり構って病を発症します。慣れっこの家族の冷たい対応が味あるページですね。
勿論構って欲しいだけなので成美は中々死にません。お姉ちゃんの説教が身に染みますね。さっきから貼っている画像の多さで、僕がこの話をとても気に入ってる事が伝わればと想います。
そんな成美も今回ばかりは本気。遂に家族の制止も振り切って焼身自殺。これで念願の自殺に成功したのですが……
その後、成美の死に深く傷ついた遺族は成美の彼氏を家に呼び、あれやこれやの恐怖の嫌がらせを決行。最終的に成美の幽霊を見てショック死させてしまう。
そしてこの話のオチが……
ちゃっかり生きてました。
人一人殺しておいて、最後はサザエさんのような家族のほのぼの会話で締めるのが笑いを誘います。是非、引摺家の日常も日曜の夕方に毎週流して貰いたいものですね。
■5位
グリセリドより「唯」ちゃん。
彼女は紹介した中ではかなり一般的な女の子です。ただ一つ普通と異なる点は、常に油まみれでサラダ油が主食の家族に囲まれ暮らしていることです。
油っ気が充満する部屋で暮らす唯ちゃん。勝手に「油度」なる言葉を創りだし、読者に部屋の油度を常に伝え続けてくれます。
この話は絵面のインパクトが大きいのでネットでも人気ですね。特に顔中ニキビ塗れで妹に顔面の油を飛ばしてくる兄貴は人気キャラです。
嫌がる唯ちゃんを無視して、兄貴は常に油を発射し続けます。
「キャッ」のコマがやたらと可愛いんですよね。こんな油塗れの家にさえ住んでなければ、将来はさも美人に成長したでしょう。因みに父親は寝ている間にこっそりサラダ油を飲ませてきたりします。
唯ちゃんは間違いなく漫画史で最も兄貴に油を飛ばされた女の子でしょう。この家族から何でこんな美少女が生まれたのか謎な部分を汲んでのランクイン。
■4位
耳擦りする女から「まゆみ」。
彼女は見ての通りおかしいです。説明不要ですね。こんな重度の患者を前に「さっそくだが頼む……」と言われるお世話係の内田さんが可哀想過ぎます。
そんな情緒不安定のまゆみも、お世話係の献身によって段々と普通の女の子に近づいてきます。最後のコマの表情がまさに狂人らしくて良いですね。
「じゃあ、これでハッピーエンドじゃん」と一瞬安堵しますが、そこはそう簡単にいかないのが伊藤潤二ワールド。なんとこの後……
お世話係の人が四六時中まゆみに張り付き過ぎてスタンド化します。それにしても落ち着いている時のまゆみ嬢は美しい。喋ると狂ってるギャップが彼女の魅力。
スタンドになった内田さんとじゃれ合うまゆみ。彼女にはもう在りし日の情緒不安定な姿はありませんでした。それにしてもお父さん、この状態を「ああ」の一言で済ませるのは中々肝が据わった方ですね。
最終的にはアムロとララァのような関係に。伊藤潤二先生の描く黒髪ロングは最高だぜ!
■3位
実写映画化もしていた、うずまきより「桐絵」。
「うずまき」は長編なこともあって気合が感じられる作品です。その分、最後の投げっぱなしオチは途中でまた飽きたな感もまた大きいですが。
そんなうずまきのヒロインである「桐絵」ちゃんは文句なしの美少女。
しかし彼氏は精神不安定。なにか邪悪な波動を感じるとすぐ「うずまきのせいだ!」と統合が失調した話を語ってきます。
桐絵ちゃんは天使なので、そんな引きこもりで狂言を吐く彼氏をなんとか外に出します。
果たして歴史あるホラー漫画史でも、ここまで「禍々しいものを感じる!」と怯える主人公がいただろうか。
そんな桐絵ちゃんもうずまきの影響で髪型がおかしくなります。こんな状況で「早くもとに戻しなさい!」と冷静な指導を行う先生がクール。
そして嫌味なライバル登場。「いいわね、注目されて」とコイツもコイツで頭の螺子がぶっ飛んだ皮肉を放ちます。桐絵ちゃんの心底勘弁してくれって顔が良い。
バトル開始。
未だに心底嫌そうな表情を崩さない桐絵ちゃんが大好きです。これが本当の「髪と髪」ってね。
そんな「うずまき」ですが、ラストの修一くんと桐絵ちゃんのカットはいい……。「ギョ」と同じでこう云うエンディングは外さないのも伊藤潤二先生の実力でしょう。
■2位
双一シリーズより「双一」。
美少女とはまた違いますが、伊藤潤二作品のヒロインという意味では彼を外して語ることはできないでしょう。ぶっちゃけ殆どのヒロインより彼の方がかわいいです。
双一くんは見ての通り常に釘を咥えており、明らかにヤバイオーラ満天なのですが、
双一くん、普通にクモを怖がります。
かなりあざといキャラですね。誰もが一度は通った「妖しげなキャラ」を必死に保とうとする姿勢が可愛い。他にも好きな子にラブレターを書いたり、お兄ちゃんたちが愉しそうに会話していると、嫉妬から釘を飛ばして嫌がらせしたりと愉快な少年です。
先生と仲良く「釘ごっこ」で遊ぶ双一くんの無邪気な笑顔。因みに釘ごっことはお互い口から釘を発射して刺し合う競技です。危険なので良い子は真似しないようしましょう。
腹立つ教師を呪術で人形にした双一。しかし上手くコントロールできず、四六時中釘ごっこで狙われる身になってしまいました。
双一の兄である公一くんも、やんちゃで陰気な弟に説教する常識キャラの筈ですがどこかおかしい。例えば双一が用意した部屋を母親と探索する話では、
「それにしても狭い部屋だな!」と、「大ゴマで言うことそれ!?」なツッコミをしてくれます。
これは双一くんの姉がネコを飼い始めたので、呪いでちょっかいを出す話です。双一の呪いのせいでギャロンもといコロンは謎の生物を捕まえたり、部屋中爪で引っ掻いたりと好戦的な動物になっていきます。
そして案の定、可愛がっていたコロンの制御が効かなくなり双一に反抗してしまいました。
矢っ張りお兄ちゃんもおかしいので、この2ページだけで4回も「双一は落ち着け!」と連呼します。この辺狙ったギャグなのか、はたまた素なのか判断に難しいのも潤二作品のポイントですね。
そして栄えある一位に輝いたのは……
■1位
矢張り「富江」、彼女しか選び切れません。
富江は色々な姿で登場します。時には幼女に、時には赤子で登場することもあります。そんな彼女が登場する作品に共通するのは、基本富江の所為で登場人物が死ぬことです。
富江は非常に我儘です。男たちが自分のために愉しませてくれなければキレます。更に男たちが自分のモノにならなければ、必死に自分に惚れさせようと画策する所もあったりします。
更に富江は死にません。例えば首を切り落としたり焼き殺したりしても復活しますし、最悪増殖します。間違いなく伊藤潤二作品一の強キャラです。そして厄介なことに彼女を愛した男性たちは何故か富江を殺したくて仕方なくなります。
因みにファンの中でも人気のある富江は、首を切り落とされた後もゴミ箱から顔をヒョイっと出してるシーン。なんとフィギュア化されている。
こんな状態でも偉そうな彼女に男子なら誰でも一目惚れ。
そんな富江がそこらの強キャラと決定的に違う部分は、富江は性格が悪すぎるだけでなく、頭も悪い。
基本的に男が自分を見てくれなけれな気が済まない性格ですし、我儘すぎて増殖した自分同士で殺しあう龍騎みたいな話もありました。
多分協力し合って行動すれば簡単に世界征服だってできすスペックでしょう、死なないし……。けれど彼女たち富江はそんな事欠片も考えません。行き当たりばったりで気に入った男を虜にすればそれだけで満足なのです。
「富江」はもう何度も実写映画化された伊藤潤二先生を代表する作品です。潤二先生のキャラへの愛着もひとしお。「なんで俺くんが!?」のコピペよろしく本人と対談するあとがきまで描いちゃいます。
潤二先生曰く、未だ富江の美しさを5%程度しか表現できていないとのこと。今後の先生が描く富江の妖艶な魅力に期待ですね。このあとがき漫画のノリお気に入りです。富江の仕草が一々ツボ。
因みに僕は幼女富江がいやに性的で大好きです!
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矢張りホラーといえば妖しげな美少女がつきもの。今回の記事で紹介したキャラたちはどれも個性的かつ妖艶な魅力を放つ女性だらけです。
僕の稚拙な文章力では先生の世界観を全てお伝えするには至りません。興味を持ってくれたなら各自で伊藤潤二先生を購入して頂くのが一番良いです。ストーリーは好みがあるから兎も角、画力は漫画界の中でもトップクラスでしょう。
お節介ながら先生の作品に初めて触れるなら、「魔の断片」をお勧めします。それから自分の肌に合うと感じたら富江なり双一なり気になった作品を購入していくと吉かも。