寝取られゲー視点で振り返る「ベルセルク 黄金時代篇」
ベルセルク再ブーム
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新作アニメが触が終わってからの話なので、これでベルセルク未読の方もアニメについて安心ですね。ただ、ロスト・チルドレンの章がアニメでは飛ばされてしまったのがショックですが……。
今日放送されるベルセルクを先行で観た人たちの感想漁ってたのですが、ロストチルドレン飛ばしているので、ガッツが超凶悪な顔つきで「あるじゃねぇか もっとオレの戦向きのやつがよ」と初めてドラゴン殺しを振るうシーンないのが、勿体ないくて少しショックです
— にゃるら (@nyalra) 2016年7月8日
さて、最近はベルセルクが久々に新刊が発売されたり、新作アニメが始まったりと、ベルセルクの名前を目にする機会が増えました。
ベルセルク最新巻、例のガッツの身体張った自虐ギャグのシーン(ガッツは全然五体満足でない)で、我慢できず笑ってしまった pic.twitter.com/CerjdcRXcA
— にゃるら (@nyalra) 2016年7月4日
さて、ベルセルクと言えば何と言っても「蝕」でしょう。僕も初めて蝕の凄惨な光景を読んだ際、余りに凄惨なシーンが続くショックで無職になってしまいました。蝕だけにってね。
そんな蝕を中心に考えると、ベルセルクは「ガッツ」「グリフィス」「キャスカ」三人の物語です。この「3人」という数字は、寝取られモノでは非常に重要で、誰と誰がくっついても、残り一人が不幸になる形になります。
ベルセルクは、そうなっていく過程を非常にねっとり描写しており、謂わば13冊使った壮大な寝取られ本といっても過言ではないです。ごめんなさい、過言です。三浦先生済みません……。
ということで、今回はベルセルクの話をしていきます。
因みに寝取られ本の最高傑作である「橘さん家ノ男性事情」を下地に話を進めていくので、未読の方(まさか当ブログの読者には、そんな愚かな方は居ないでしょうが……)は是非ご一読ください。下はノベライズ版ですが。
寝取られゲー視点で振り返る「ベルセルク 黄金時代篇」
・ゲームの冒頭は主人公の生い立ち語りから!
ベルセルク1巻は、開いた瞬間に、鎖で吊るされ拷問されているガッツのアップから始まります。壮大なダークファンタジーを期待して読み出したら、唐突に主人公の陵辱シーンが始まるのは腰が抜けますね。
序盤は黄金時代篇ではないので飛ばします。
そんなこんなで、黄金時代篇開始。ここでは、ガッツが如何に不幸かこれでもかと言うほどに描かれていきます。死んだ母親の躯から泥の中で産まれたガッツは、乱暴な傭兵団に拾われた挙句、育ての親になった呑んだくれの親父に騙され、銀貨数枚でおっさんに売られて肉便器にされてしまう……。ここだけなら鬱ゲー寄り。
寝取られゲーの主人公は不幸で無ければいけません。なぜなら、身に降りかかる災難を乗り越え、漸く結ばれたヒロインを他の男に取られる方がカタルシスが発生するからです。この現象は(主に僕にから)「橘さん家ノ男性事情効果」と呼ばれています。
これらの流れが寝取られゲーの画面ならこうなります。
ちょっと悲惨さのスケールが違いますが、寝取られゲーの冒頭もこんな感じです。今は主人公の生い立ちを語っていく段階です。多くのユーザーがスキップで読み飛ばすところですね。
その後、不可抗力で育ての親であるガンビーノを自身の手で殺してしまうガッツ。これが暫くトラウマになっていきます。
この辺はゲームでよくある、シナリオの障害となるため、色々と理由があって主人公が一人暮らしするまでの過程です。
よくある設定です。ガッツの場合、死んでしまったというか、殺しているのですが。
・ヒロイン登場!
独りで生きていく事になったガッツは、ふらふら旅をしていると一人の少女に絡まれます。そう、今作のヒロインである「キャスカ」です。褐色ヒロインは淫乱の証。
このシーンは、ギャルゲー画面だとCGが表示されているあたりですね。戦国ランスの謙信とランスの戦闘シーンもこんな感じでした。
こうしてみると、清く正しくギャルゲーしています。
お次はライバルである「グリフィス」登場。キャスカに襲いかかるガッツを、見事に返り討ち。なろう系小説では、主人公が負けることを非常に嫌うので、もしベルセルクがなろう作品であった場合、この時点で見限られています。
ギャルゲーなら、突然現れたイケメンのキャラ立てです。
今回は不幸なことに、このグリフィスにキャスカを寝取られる事になります。寝取られゲーの竿役なら、もっと汚らしい方が好みですが、完全無欠の人格者に寝取られるのも、それはそれで無情でいいですね。グリフィスは汚いところを、ガッツにしか見せないだけですが。
グリフィスに敗北したガッツは、グリフィスに命令されたキャスカに暖められながら、ゆったり起き上がります。所謂初めてのえっちシーン。ルートに入る前にえっちなシーンが2.3用意されているのは、良いゲームの証。
主人公とヒロインが、初めてお互いを意識しあう重要な段階です。
・グリフィスルートかキャスカルートかの分岐点
色々あって、グリフィスに気に入られるガッツ。それを見ながら、グリフィスが取られそうな事に陰で悶々とするキャスカ。グリフィスがホモでなく女の子なら、少女漫画っぽいシーンなのですが。グリフィスは「おまえホモか?」とガッツに訊かれて呆れますが、彼はホモです。
キャスカとの暖めイベントがあったので、ヒロインの釣り合いを取るため、次はグリフィスとのえっちシーン。ヒロインの少ないゲームでは、平等にするためにヒロインの見せ場を均等にしなければなりません。
ここでグリフィスとの会話に上手く返答し、好感度を稼いでいけば、見事グリフィスルートに分岐していたでしょうが、残念ながらガッツの選択はキャスカ寄り。
・キャスカルート突入
名言を放つグリフィス。グリフィス、延いてはベルセルクという作品を象徴する名言ですが、
低価格のギャルゲー画面だと、迫力もクソもありません。
ちょくちょく寝取られへの伏線を張っていくグリフィス。ここでガッツが寝取られゲーの主人公なら「むっ……グリフィスのやつ、キャスカになれなれしくしやがって!」とフラグを立てている所です。
場面は飛んで、ならず者に襲われているところを、颯爽と現れたガッツが助けに入るイベント。ヒロインのピンチを助けに入った主人公が無双するシチュは、なろうでも評価される項目です。「らしくねーな」と、やれやれ系主人公っぽい皮肉もポイント高し。
ギャルゲーなら「ボカッ!」という気の抜けたSEと共に、安っぽい立ち絵のヤンキーが逃げていくイベントです。主人公がそれっぽい事を言って好感度を稼ぎます。
このイベントを起こした事により、ベルセルクの物語はキャスカルートで確定します。哀れグリフィス。「しゃあねえなあ!」というやれやれ主人公セリフと共に、介抱のため仕方なく服を脱がしていくガッツ。ラッキースケベシーンです。
ルートが確定したので、どんどんキャスカ関係のあざといイベントが起きていきます。
グリフィスもただ指を咥えて眺めている訳ではありません。すかさず寝取られエンドへ繋がる伏線をどんどん撒いていく。
低予算のゲームでは、一々専用の立ち絵を用意する余裕がなく、本来ならドレスを着ているシーンでも、容赦なく私服のままで済ます場合が多いです。無情。
・寝取られエンド「蝕」
話がややこしくなるので、僕がベルセルクの登場キャラで最も大好きなワイアルドの辺りは割愛します。エンジョイ&エキサイティング!
順調にキャスカとのイチャラブイベントをこなしていくガッツ。ここだけ見るとガッツの方が可愛い表情ですね。
しかし、寝取られゲーでは、これらの要素は全て、ラストの寝取られへ繋がる踏み台に過ぎません。
突然現れ不吉な事を言っていくオッサン。
要は「うかうかしてると、今からお前寝取られちゃうぜ!」という話をしているので、喩えるならときメモの「お前嫌われてるぜ」と同じ、親友キャラに依るヒロインのステータス確認です。
色々あって(本当に色々あった)、ボロボロになったグリフィスを介抱してあげているウチに、襲われてしまうキャスカ。
一度惚れたオトコという手前、強く拒絶することも出来ず、曖昧に彼を受け止めてしまいます。呑気に友達と話しているガッツが、寝取られゲーの主人公としていい味出している。
寝取られゲーでは実際に、こんな寝取られていて下さいと言わんばかりのセリフが出てきます。
フラグ立てが甘かったか、はたまたグリフィスとの好感度も上げすぎていたのか、ついにガッツは振られてしまいます。
そんなこんなで寝取られルートが確定してしまい、「蝕(バッドエンド)」が確定します。石畳の道を抜けてお城を目指すグリフィス。ここで、お城なんかより木組みと石畳をそのまま進んでいけば、ラビット・ハウスに辿り着いて、ごちうさ世界の住民として幸せに暮らす世界線もあったのかも知れませんね。
遂に目の前で彼女を寝取られてしまったガッツ。この時はキャスカと口吻ていますが、グリフィスはホモなので、他のシーンではキャスカを犯しながらも、殆どガッツを見ています。
キャスカが欲しいというより、ガッツに構って欲しかったグリフィスだからこそ起きた寝取られ。二人の好感度を上げすぎた故の悲劇。ときメモでいう「爆弾」であり、セングラでいう「せつなさ炸裂」状態。
因みに左ページの構図は、過去の何気ないやり取りにあるページを模しています。なんだこのファンサービス。
というわけで、こじれ続けた三人の歪な関係を、寝取られゲーとして振り返っていきました。
と言っても、これが本当にギャルゲーだとしたら相当理不尽で、まずグリフィスが嫉妬して狂うタイミングの調整が難しすぎます。
そもそも寝とってくる側が、主人公を愛している余りの構って欲しさが、何よりの行動原理である事がイレギュラーです。
それにしても、散々ガッツの不幸を描写し、鷹の団という安らぎの空間を与え、キャスカという恋人まで作って、持ち上げてからのこの仕打ち。寝取られモノとして見ても一級品です。
ただ「寝取られ」とつけることで、客寄せがしたいだけの作品が氾濫する昨今、真の寝取られとは何か、ユーザーが求める敗北感とは何か、一度ゆっくり考えてみる必要があるのかも知れませんね。(それっぽい締め)
ちょうど今週のウォーズマンが「抜く」とか「不安」とか言ってたので…… pic.twitter.com/cnudcZQV1x
— 喜屋武にゃるら (@nyalra) 2016年6月20日
オマケ
このインタビュー、マシリトが「画力以上に言葉の力を持っている」と、ベルセルクのセリフ回しの方に注目しているのが、流石ジャンプの名編集感ある / 「ベルセルク」特集 三浦建太郎×鳥嶋和彦対談 - コミックナタリー Power Push https://t.co/GkMC63SNbv
— にゃるら (@nyalra) 2016年7月8日
このインタビュー本当に凄かったです。一応三浦先生も物語を完結させたいと考えているようですね。今後のベルセルクの展開が愉しみにしましょう。