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「おそ松さん」と「ギャラクシーエンジェル」の共通点とギャグを比較する



 

 先月、「おそ松さん」の放送が目出度く最終回を迎えました。何故かおそ松さんから女性ファンがメモ帳のスクショを貼ってネタバレ禁止を呼びかける文化が流行しましたが、現在ニコニコ動画バンダイチャンネルで視聴できますので、ネタバレ込みでいきます。

 両作品について説明なんてされなくても充分理解しているという方は、ちょっと先まで読み飛ばして大丈夫です。

 

 

おそ松さん

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 良くも悪くも、ここ最近のアニメ界では一二を争うほどに話題になった作品ですので、当然マナーを弁えないファンやアンチも多数散見されました。個人的には久々の不条理ギャグアニメでしたので存分に愉しめたのですが、矢張り腐女子がメインターゲット層だけに、男性側は拒否反応を示す方も多かったです。

 おそ松さんの本編自体には、言うほど腐女子に媚びた描写は少ないですし、寧ろ女性ファンに挑発的なギャグも多かったですので、そう言った理由で敬遠してしまうのは勿体無く思います。まぁその辺の面倒そうな政治的な話は触れない方向で進めます。

 

・自己責任アニメという形

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 僕が「おそ松さん」を愉しめた一番の理由として、視聴者を試しているようなぶっ飛んだギャグが多い事が挙げられます。

  本編7話Cパートでは、おそ松兄さん自身から「ギャグアニメという呼ばれ方はハードルが上がるので、自己責任アニメにしよう」と提案されます。自己責任アニメとは「面白いか面白く無いかは視聴者の自己責任」という意味であり、「おそ松さん」を語るにここまで適した言葉もないでしょう。

 一応おそ松さん兄さん(製作側)は「ギャグアニメ」と呼ばれる事を嫌がっているようですが、便宜上ギャグアニメとして扱います。

 自己責任アニメを自称するだけは有り、回によってギャグや話の方向性は大きくブレます。突然主役の座を賭けたレースが始まる事もあれば、イヤミを通してギャグとは何かを啓蒙していくかのような回もありました。

 このように不安定かつ先が読めないシュールな展開は「不条理ギャグ」にジャンル分けできます。「不条理ギャグ漫画」の始祖と呼んでも過言ではない赤塚先生の意志を正しく継いでいますね。別記事もお勧めしましたが、赤塚作品にはまず傑作選から入ると独特の空気を掴めると思います。

 僕はそんな「不条理ギャグアニメ」が大好きです。では、僕が「不条理ギャグアニメ」にハマった切っ掛けであり、今回「おそ松さん」との共通点も多いと言われている「ギャラクシーエンジェル」の話に移っていきます。

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ギャラクシーエンジェル

  さて、知る人ぞ知るギャラクシーエンジェル(以下GA)の説明を簡単にしていきます。

 ギャラクシーエンジェルは30分2話計算で100話以上のエピソードがあり、4期に分けられ6クール分もの放送がされました。

 その中でも特に人気のあったエピソードの1位2位が、2012年にギャラクシーエンジェル ア・ラ・カルト」として再放送されていましたので、気になった方は下図の順から観ても良いと思います。

 余談ですがGAアニメは今年で15周年。当時純真無垢な7歳だった僕も、今では立派に気持ち悪い成人男性に育ちました。

順位放送期話数サブタイトル 
1 ギャラクシーエンジェルA 18 数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし  
2 ギャラクシーエンジェルAA 27 ピュルリクマジカルステーキ  
3 31 サインはブイヨン  
4 ギャラクシーエンジェルX 10 ラブ米  
5 ギャラクシーエンジェルAA 28 気になるバウムクーヘン  

(※Wikipediaより転載) 

  さて、GAの内容はと言いますと、先程の「おそ松さん」の説明と同様、回ごとにストーリーが独立しており、次に何が起こるのか全く予想できず、更に次の回では設定がリセットされる「不条理ギャグアニメ」となっております。

 「おそ松さん」では、たまにノリでつけられたようなアダ名や小物が次回以降まで引き継ぐ事もありますが、GAでは殆ど無かったことにされるのが少し異なりますね。GAではAパートでヒロインたちが死のうがハゲようが、Bパートでは何事も無かったかのように呑気に登場します。

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  このように、「次の回では無かったことになるから何があっても許してね」という空気を成立させたのはギャグアニメとして非常に美味しく、GAは朝からの放送で子供がメイン層にも関わらず、平然とヒロイン達に汚れ役を押し付け、時には保身や金銭トラブルにより、仲間内で殺し合う事も珍しくありませんでした。

 

・なぜこのようなアニメが生まれたのか

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 GAは元はゲーム原作であり、そちらの方は非常に真面目な話が展開されており、主人公のタクトくん相手にエンジェル隊の面々がまるでギャルゲーのヒロインかのように甘々なラブ・ストーリーを繰り広げます。まぁ何を隠そう彼女たちはギャルゲーのヒロインなんですが。アニメから入るとデレデレなヴァニラさんなんて想像できません。アニメだと決して異性になんて関心を示しませんし、興味ありそうなモノは宗教信仰と洋服にお刺身をつけることくらいですし。

 さて、なぜ原作とアニメ版で天と地の差と呼んでいいほどキャラ設定からストーリーまで乖離したのかと言いますと、1期アニメは元は壮大なスペース・オペラであるゲーム版の販促として企画されました。しかし、ゲーム版の製作の遅れによりアニメスタッフは原作がどんな内容なのか分からないままアニメを作っていくハメになります。GAアニメは混沌とした状況が創りだした奇跡の産物です。

 その奇跡の大部分は平成ライダーで色々と有名な井上敏樹さんが、シリーズ構成を担当しているにも関わらず「俺が責任を取るから好きなように書け!!」と宣言したでしょう。こうして「オチも伏線も投げっぱなし」で自由に暴れて帰っていくだけの前代未聞のアニメが始まりました。

 今考えてもこんなアニメが朝の9時から放送されていたのは、テレビ局もスタッフも気が狂っていたとしか思えません。同じブロッコリー企画で深夜から昼アニメになったデ・ジ・キャラットは、ターゲット層の年齢が低くなるにつれ内容も大人しく教育的になって来ましたが、GAは何故か朝になってからの方が不条理さに磨きが掛かりました。GAのアニメ版に教育的な話は一切ありません。実際、GAを観て育った僕がこんなんになったので実証されています。

 因みに子供向けに振り切ったぱにょぱにょデ・ジ・キャラットのシリーズ構成も井上敏樹さんです。そちらの方の評判も結構アレ。

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■両作品を繋げる共通点

 ここからが本題です。「おそ松さん」のどのような部分に「ギャラクシーエンジェル」らしさを感じたのか並べていきます。

 個人的な話になりますが、僕がギャグアニメに求める大部分が「どれだけギャラクシーエンジェルに近いか」であり、「おそ松さん」以前に一番GAと同じ匂いを感じた作品がミルキィホームズです。

 どんどん話は逸れますが、「ミルキィホームズ」は元ブロッコリー代表「木谷高明」さんの企画であり、過去に「デ・ジ・キャラット」や「ギャラクシーエンジェル」を手掛けただけあって、そう言った面で「ミルキィホームズ」には思い入れありますし、公開劇場数が異様に少なかった劇場版にも足を運びました。

  フォロー内で観に行った人が全然居なかったので、これを機にこの記事を読んでいる読者の方にも観てもらえたなと思いましたが、多分もう上映している映画館無さそうですね。

 

・メインキャラクターたちが全員クズ

  閑話休題。話を「おそ松さん」と「ギャラクシーエンジェル」に戻します。

 両作品ともに共通する最も大きな要素は「メインキャラクターが全員いざとなれば平気で仲間を見捨てるようなクズ揃い」な事でしょう。

 おそ松さんの六つ子も、烏丸ちとせを加えれば6人のエンジェル隊も、モラルの部分のステータスは大分低いです。

 例えばおそ松さん23話では、ダヨーンの胃袋内で謎のダヨーン族に追われ足を挫いたチョロ松に対し、比較的兄弟想いな描写が多かったカラ松でさえ「大丈夫かチョロ松!今助けるぞチョロ松~!」と言いながら置いていきます

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  元より六つ子自体が全員成人している身ながら実家に寄生するニートですので、説明するまでもなくクズのなのですが。トド松だけはバイトしているエピソードもありましたが、あのドライさですので恐らく実家に金は入れていない気がします。

 

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  それに比べるとエンジェル隊の面子はまだまともそうに思えますが、崖に掴まったエンジェル隊達が、自分だけは助かろうと様々な方法で必死に仲間を振り落とそうとする葛藤で1話使った「数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし」など、見た目は美少女でも行動はド畜生なエピソードが多々ありました。

 この「数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし」は人気エピソードの一つですが、実はこの回だけウォルコット中佐の声優が違います。今後一生役に立たない無駄知識として覚えておいて下さい。因みにエンジェル隊の上官にあたるウォルコット中佐は、「どちらの占いが的中するか」だけの理由でフォルテさんとミントさんに暗殺されそうになった事もあります。

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  フォルテさん・ミントさん・蘭花は「金」のため、ヴァニラさんは「独自の宗教観」を第一に、ミルフィーユは「何も考えず」に行動しているので、こういった衝突は日常茶飯事です。なんでこんな人達が軍人なんてやっているのでしょうか。

  一見これと言った害はなさそうなミルフィーユですが、「哀しみ憎しみ凍み豆腐」では、自慢のビーフ・ストロガノフを振る舞ったのに、何度言ってもフォルテさんが「美味しいなぁミルフィーユのハヤシライスは」と言い張るので、「フォルテさんにビーフ・ストロガノフはハヤシライスじゃないと分かって貰いたかった」と鈍器で殴殺したりもしました。このアニメにまともな感性のキャラは居ません。

 

  「登場人物はクズしかいないので作中で起こる理不尽な仕打ちも自業自得」な前提は、キャラ弄りも多いギャグアニメでは重要ですし、その要素を一番活かされたのが「基本的に良い奴ではあるが、存在するだけで迷惑なので扱いが悪い」カラ松です。どんなに優しい相手でも、自分の顔面が印刷されたシャツを愛用している人間はキツいので。

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 因みに作中のカラ松タンクトップ、どうやら商品化しているっぽい……。このタンクトップを着た腐女子で溢れかえる同人イベントを想像すると辛いものがありますね。

おそ松さん カラ松タンクトップ

おそ松さん カラ松タンクトップ

 

 

 

・シュールギャグの基本は投げっぱなし

 僕はウルトラスーパーアニメタイムなどに代表される短編アニメが好きです。

 理由としては短い分会話のテンポが良いですし、無駄な尺がないので話のテーマもハッキリ分かりやすいです。何よりそれがギャグアニメだった場合、オチなんて放り出して好き勝手暴れるだけで終わる場合が多いのが好き。

 先述したデ・ジ・キャラットがまだ深夜だった時代は3分アニメで大好きなアニメなのですが、特に15話「PARTY NIGHT」は、MVのように全員が曲に合わせて踊るだけという、30分アニメならまず考え切れない内容で、あの時代のおおらかさが感じられてお気に入りの回。

 やること無いなら取り敢えず歌って踊っておけの精神はGAにも引き継がれていますね。おそ松さんもGAも基本はABパートに分かれた2話構成なので、似たような一発ネタだけで引っ張る話が多いです。

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 「シュールギャグはテンポだけ追って投げっぱなしでいい」事も「ギャラクシーエンジェル」で学びました。その為なら突然舞台設定が変更しても説明なんて最低限で良いことも重要。

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 例を挙げると「ラブ米」はタイトル通りエンジェル隊が高校生になり、男子生徒とラブラブな青春を過ごしていくエピソードです。この回の凄い所は、「好きとか♪ きらいとか♪」のフレーズで有名なときめきメモリアルOPの歌手である金月真美」さんをわざわざ呼んでまでそれっぽいOPを作った事。

 突然エンジェル隊が学校に通いだし視聴者は困惑しますが、途中で「潜入捜査のため」とだけ一応説明が入ります。勿論なんの捜査もしませんし、蘭花が複数のイケメンに接近されたりしますが投げっぱなしで終わり。1話使ってまで繰り広げた大恋愛は、次回になると跡形も無く忘れ去られます。

 

 突然説明もなく舞台や設定が変わるのはおそ松さんの方が多いですね。f:id:nyalra:20160409130703j:plain

 定期的に「じょし松」さんという、何の脈絡もなく性別反転した短編が挿入されることもありましたし、酷い時はもし六つ子がうだつの上がらない三十越えのどうしようもないオッサンだったらを描いた「実松さん」新年早々流されたりもしました。

 こういった腐人気そっちのけで、思いついた一発ネタを勿論オチや説明なしで挟むスタイルは不条理ギャグアニメには欠かせない。

 30分だと長くてダレるのでABパートで(または更に細かく)分け短く収める手法がギャグアニメに最適なのは、クレヨンしんちゃんを観れば一目瞭然です。

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・例えメインキャラでも使い捨て

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  おそ松さんでは3話時点で既に3名死んでいます。何故か宇宙空間に漂っているおそ松・チョロ松・十四松が酸素切れで死にました。他にも3話はデカパンマンが事ある毎に下半身を露出するので頭部を銃で撃ち抜かれたりもしています。

 

 3話は小ネタ集なので除外するとした場合、18話のレース回などで六つ子が明確に殺される描写があります。3話にして小ネタ集だけの回を作るって大分ネジ外れてますが。

 

 18話では遂にキャラがキャラを殺害し始め、イヤミに至ってはAKIRAにでてきたSOLのようなレーザー光線でレースに参加した人間を溶かし根絶やしにします。その後も六つ子は白骨化したり、その他のキャラも宇宙人に惨殺されたり後半にいくに連れてバイオレンスさに脂が乗ってきた印象があります。特にその辺りのはっちゃけぶりを活かしたのが最終回なのですが、その話は後述します。

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 キャラクターの殺しっぷりならGAも負けていません。と言ってもヒロインを殺す事に躊躇なくなってくるのは後半の方なので、長く続けてきた分脚本に歯止めが効かなくなってきたのでしょう。

  GAに至っては「開始時点で全員死んでいる」パターンもあるくらいですが、特に気持よく殺したなと思ったのは、GA一の人気エピソードだと名高い「サインはブイヨン」

 この回はエンジェル隊とエリート女子軍団がバレーで勝負する内容なのですが、事の発端はエリート女子軍団とすれ違った時、思わず肩をぶつけてしまったミルフィーユが吹っ飛んで死亡した事から始まります。f:id:nyalra:20160409163708p:plain

 スペランカーですら別に何かに触れた程度では死なないのに、こんな脆い主人公初めて観ました。その後も蘭花の全力を込めたサーブが何故か生き返っていたミルフィーユに当ってまた死んだりします。最早、映像を文に起こしている自分ですらよくわかりません。

 その後もエンジェル隊バレーをしているだけでどんどん死んでいくのですが、ここまで簡単に思い入れのあるキャラが死に続ける展開を見たのは、ベルセルクの蝕くらいです。

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 その場のテンションでキャラを殺したり復活させたりするのは不条理ギャグの基本ですが、そう考えるとダイの大冒険」や「男塾」も大分ギャグだと思います。

 この辺のその場の思いつきだけで話が続いていくのは「AA」の時期ですので、最初から全力のエンジェル隊を味わいたいなら、AAから視聴すると吉かも。

 

 ・ギャグアニメと言えば何と言ってもパロディf:id:nyalra:20160409165041j:plain

  ギャグと言えばパロディ。パロディと言えば赤塚不二夫。ということでおそ松さんにも、これは流石に怒られるだろ! レベルのパロディ要素がふんだんに使われています。

 特に顕著なのが1話「ふっかつおそ松くん」ですが、これは「怒られるだろ」レベルで済まされなかったのか、DVDでは収録されませんでした。

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  息を呑む間すら与えないパロディの応酬。腐女子受けを狙っている事を一切隠さないことで逆にネタにしていくスタイル。そして、全てが終わった今観返すと何だかんだキャラの個性を把握するのにうってつけの回ではあったりと、多くの視聴者の心を掴んだ伝説の回だけではあります。

 何と言っても1話ラストで「赤塚先生怒らないかな……」に対する「平気だよ。大分前に死んだから」の台詞はこのアニメを象徴していると言っても過言ではないでしょう。

 

 

 GAにもやたら豪華なパロディ回があります。

  「ピュルリクマジカルステーキ」では歴代魔法少女アニメのOPを継ぎ接ぎしたような映像が流れますが、この回はOPがあの堀江美都子さんが歌ったバージョンになっており、ターゲット層の女児に一切伝える気のない気合の入れように視聴者たちの度肝を抜きました。

 

 

 ・最終回まで手を抜かないカオスっぷり

 7話程度から大分GA感あるなと(一部に)言われ続けてきたおそ松さんですが、最終回でGAを思い出した人たちも多数居たと思います。

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 まずGAの方の最終回、この場合4期の最終話を例に挙げるのですが、今迄のお話は全て劇中劇であり、役者たちが演じていたドラマという形で始まります。本編では無口なヴァニラさんも、中の役者さんはそれなりに喋って可愛い。

 ヴァニラさんやミルフィーユはともかく、恐らく小学生程度であろうミントさんの中の人は、自身がハゲになったり大樹となって寿命をまっとうするドラマを流されて虐められたりしていないか心配です。

 その後、突然攻めてきた宇宙人相手に「本物のエンジェル隊」が必要となり、自分たちはエンジェル隊を演じる役者だと思い込んでいた彼女たちが、記憶を取り戻して実は本物だったというありがちな展開になるのですが、

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今迄のシリアスな雰囲気はどこ吹く風。何故かこんなゴツい見た目の敵と卓球で勝負します。

 そしてオチは、全員の期待を掛けられたミントさんがタバスコを吸って退場。

 一見なにもかも意味がわからない構成なのですが、「タバスコを吸う=タバコを吸って不祥事」な事や、このカットにすら元ネタが有るなど、一応スタッフなりには筋を通したラストなもよう。

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 こんな最終回でも、何だかんだ特別EDが流れ、もう続きは観れないんだ……と思うと涙で前が見えなくなってしまいます。まぁこの後も「ギャラクシーエンジェる~ん」が控えているのですがノーコメントで……。

 

 さて、結論から言いますとおそ松さんの最終回はもっと酷かった。

 まず最終回手前の回で珍しくシリアスな展開を挿入し、今迄あんなに一緒だった六つ子たちが独立して去っていったのですが、

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最終回が始まると空気が一転。突如松野家にセンバツ出場」の手紙が届き、道端や職場で自慰に耽る兄弟たちを集め、「センバツ」に出場します。

 この時点で多くの視聴者は「あっ、このアニメがシリアスに話を纏める気ないな……」と直感したでしょう。それ以上に開いた口が塞がらなかったかも知れませんが。まず何のセンバツかわからないし。

 おそ松兄弟は紆余曲折ありながらもセンバツ戦を勝ち進み、相手は銀河の宇宙人たちに。

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 余りの相手の非道っぷりに、歴代登場キャラクターたちがどんどん殺されていき、流石の六つ子も今回ばかりは無理だと諦めムードになりますが、何故かさっきマグロに突き刺さって死んだばかりのトト子ちゃんが「勝てばヤらせてあげるから!」と文字通り体を張った鼓舞をします。

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 童貞卒業のチャンスに六つ子は力を合わせ巨大なバッドを創り出しますが、所詮ニートなので普通に負けました。この場面は「こんな下品な展開でもOP曲が流れると勝手に身体が燃えてくる」という知見を得れるので貴重です。

 結局負けてしまったのでトト子ちゃんは切腹しまたしても死亡。六つ子も宇宙に飛ばされ死亡し、おそ松さんは第四銀河大附属高校の校歌をBGMに見事有終の美を飾りました。因みにエンドカードまで四銀の生徒に取られる始末。

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  シリアス回で散々胃を痛めた女性ファンには否定的な意見もあったようですが、「こんなアニメにマジになってどうするの」というスタッフのメッセージが透けて見えるような所も含め、ここまで下品で混沌とした最終回を製作できたのは見事の一語に尽きる。

 突然シリアス展開から謎の試合が始まる所や、色々な期待を台無しにするあたりで実況ではGAの名前を出すアカウントも散見されました。ただ一つ言えることは「おそ松さん」以上に笑った最終回は今後そう簡単に現れないでしょう……。去年は聖剣使いの禁呪詠唱で一昨年は魔法戦争がありましたが。

 

 ■最後に

  「ギャラクシーエンジェル」は自分の人生に多大な影響を与えたアニメなので、1クールに1つくらいは「おそ松さん」のような不条理ギャグアニメを継ぐモノがあると個人的に嬉しいです。多すぎると確実に胸焼けしますが。

  さて、「メインキャラクターが総じてクズ」「メインキャラクターでも容赦なく殺す」「投げっぱなしのオチ」「センスの尖ったパロディ」など共通点を並べて比較したわけですが、面白さの基準は人それぞれだとして、確実に言えることはおそ松さんの方が下品ではある」という事ですね。

 放送中は常にpixivのR18に居座り、一度男性向けのエロ絵が久々におそ松から一位の座を取り返した時の絵師の盛り上がりは忘れられません。一時期は流行りのソシャゲや美少女アニメのキャラの数倍、カラ松や一松が犯されていていましたし。

 またギャラクシーエンジェルの意志を継いだような、視聴者置いてけぼりの不条理ギャグアニメが放映される日を願って今回の記事は終わりにします。おそ松さんスタッフ半年間お疲れ様でした。

  全く関係ないですが、このノーマッドのぬいぐるみがお気に入り。

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