「 家畜人ヤプーAgain」を読みましょう
家畜人ヤプーAgain
先週、「家畜人ヤプーAgain」が発売されました。
素晴らしい表紙とタイトルですね。Againと言われても「あの家畜人ヤプーが帰ってくるぞうおおおお!」となる人のほうが確実に少ないでしょう。
作者は「女騎士さん、ジャスコ行こうよ」で話題になった伊藤ヒロ先生。一部の狂ったアダルトゲーマーからですと「夢幻廻廊」の伊藤ヒロ先生ですね。イラストレーターのぎうにう先生もアダルトゲームで原画を務めています。
因みに、現在ではこのブログの読者でも一割が知っているか怪しい雑誌「comicクリベロン」にて、「家畜人ヤプーREBOOT」も連載されています。そちらはマンガ形式でして、バリバリの3Dでエログロやり放題ですので、視覚的なレズSMが愉しみたい場合にどうぞ。
先述した通り伊藤ヒロ先生といえば、あの「Black Cyc」にて余すこと無くその才能を発揮していた方でして、例えば「夢幻廻廊」シリーズでは、リョナに獣姦、スカトロ、調教などの要素がこれでもかと詰め込まれており、その世界観は正に家畜人ヤプーそのもの。特にペット(人間)たちに笑顔でネズミや蟲の死骸を食べさせるシチュは良いですね。貴重なエロCG枚数を異常なシチュに割くセンスが最高です。
閑話休題。そんな氏が遂に家畜人ヤプーそのものを手掛けるとなると、当然食指が動かない筈もなく速攻で買ってきました。
本書のあらすじは、
瀬部 麟(せべ・りん)は高校2年の春、肉体が腐り精神異常を来す不治の病「オメガ熱」を発症。
全ての元凶である両親を殺害し、幼馴染の同級生・木下くららの命をも奪う。
しかし、それらを手助けをした新興宗教団体に裏切られ、薬液の入ったドラム缶に沈められてしまう。
―― ふたたび目が覚めると、そこは「イース」と呼ばれる遥か未来の世界だった。
日本人は「ヤプー」という〝人間以下の家畜〟として白人貴族(イース人)に使役させられる。
リンもまた女性に性転換後、ポーリーン・ジャンセンお嬢さまの飼う<雌犬>として第二の人生を送ることになるのだが …。エロとグロにまみれた戦後最大の奇書「家畜人ヤプー」(沼正三)を大胆にリメイクした、奇想天外なライトノベル !
某大手出版社から、あまりに過激な内容ゆえ「とても出版できない」と拒否された問題作、ついに登場 !!
となっておりまして、元の「家畜人ヤプー」からSF要素を削り流行の転生モノを意識した形になっています。転生先がなろう小説でなく奇譚クラブだったらこうなるというお話ですね。「某大手出版社から、あまりに過激な内容ゆえ「とても出版できない」と拒否された問題作、ついに登場 !!」という煽りが良いですね。
ある程度の本筋や登場人物の名称などは共通です。ただ転生前での主人公の精神異常っぷりの盛り方が凄まじく、まず新興宗教に促され両親を殺害する場面から始まります。特に家畜要素なくてもコレですので、出だしから期待が膨らみますね。現代パートから「ガラス円筒式女陰切除カッター」なる単語が出てきたりなど、飛ばしまくりです。
転生後は、それこそ皆さんお馴染みの人間が家畜化し、差別とグロとエロに塗れた異常な世界が展開されていきます。
人間が日常的に行っている家畜への残虐行為を、「ヤプー」という下等生物として受け続ける主人公。美少女のご主人様のためなら去勢だってするように躾けられる様は、正しく人間と犬猫の関係ですね。
個人的に最もキタのが幕間でモブのヤプーたちが、次々と食べられたり家具にされる過程を淡々と紹介される描写でして、この行為に見合わない児童文学のような注釈とのギャップが堪りません。どこまでも悪趣味だけが繰り広げられていく……。読者の精神状態など一切考慮せず続いていく不条理の嵐には、思わず涙と拍手が止まらくなる程。
「自身の死を持って主人の役に経つのが何よりの幸福だと教えられた家畜の幸せは正しいか」というテーマは、「ミノタウロスの皿」でF先生も見事に描ききっています。
ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1995/07/01
- メディア: 文庫
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この作品を何よりオススメしたいのは、00年代のエログロ盛々だった自体のエロゲーマーたちでして、それこそ往年の「Black Cyc」ファンが見逃すには余りに惜しい一冊です。主人公の狂気や、規制前を恐れず存分と暴れたリョナやスカトロ……一部のオタクたちが狂ったように欲した要素の玉手箱のような内容。
勿論、「家畜人ヤプー」に現代的な要素を入れつつ、美少女要素を強めた訳ですから、原作のファンも新たなヤプーとして手に取って間違いないでしょう。ぎうにう先生の可愛らしいイラストとのギャップが光ります。
ゼロの使い魔
個人的に家畜人ヤプーを語る上で絶対に外せないのが、蛸壺屋先生によるゼロの使い魔本「使い魔ヤプー トリステインの滅亡」でして、誰もがゼロの使い魔原作から仄かに感じた、主人公が貴族の奴隷になるというヤプー要素だけを抽出した名作です。
この本のルイズは「このバカ犬ー!!」と叫んで照れたりはせず、常に暴力や性的奉仕の強制を行うわけですが、ヤプーに散りばめられた美少女からハードに道具扱いされるSMチックなエロスを、暴力系ヒロインであるルイズに変換し描ききったのは素晴らしい。
僕が蛸壺屋で一番好きなのは、家畜人ヤプーを元にしたゼロの使い魔本ですが、どちらかと言えば元ネタが好きなだけかも知れません。ついでですがこのアカウントは、3DCGで悪趣味さが増した「家畜人ヤプーREBOOT」を応援しています
— ㅤ (@nyalra) 2017年4月19日
ヤプーを元にした作品は数あれど、個人的な一番は石ノ森章太郎や江川達也よりも「ゼロの使い魔」だな~と考えていたところに、今回のAgainがスーッと効いてきた形となりました。
話が逸れに逸れましたが、凌辱ゲーの世界観に大きな影響を与えた「家畜人ヤプー」が、凌辱ゲーライターによってリメイクされたという事実が感涙モノですし、何より内容も読み応え抜群な事を嬉しく思ったというお話でした。
今後も伊藤ヒロ先生才能を遺憾なく発揮した奇作と、ぎうにう先生のおっぱい自撮りを応援しています!