わたてんの女児性に隠された歪な女と女の感情と三角関係
私に天使が舞い降りた!
もはや説明不要だと思われますが、素晴らしい作品ですね「私に天使が舞い降りた!(以下、わたてん)」。誇張抜きで毎日視聴しております。普段は引きこもりのコミュ障ながら嚢中の錐である様が垣間見えるみゃー姉の絶妙なキャラ設定が脳にスーッと効いてこれは……ありがたい。
わたてん好きすぎて、なんでわたてんのような世界に現実も追いつかないのか首を傾げた旨をツイートしたらジョルノからリプライが来てビックリしました。
— に (@nyalra) 2019年2月7日
典型的なクソリプに類する発言でも、アイコンがジョルノで敬語だったら、不快感もあまり無いしなんなら向こうの方が正しい気までするの裏技過ぎるだろ
— に (@nyalra) 2019年2月7日
それはともかくとして、わたてんは追えば追うほど各キャラの心理的な重みや関係が百合作品としての歪さをちゃっかり内包していることが分かってきまして、今回は「わたてんの女児性に隠された歪な女と女の感情と三角関係」について話したいと筆を執った次第です。要約すると本編を楽しむ上で全く必要のないオタクの戯言ですね。
わたてんOPの「あなたのすぐそばにいるよ 気ままな天使たち」という歌詞、あまりに日本語として美し過ぎると思ったら作詞・三島由紀夫らしいです
— に (@nyalra) 2019年2月7日
できる限り未視聴の方にも理解できるよう委曲を尽くすつもりですが、オタクの駄文なんかより本編が観たい方は以下のリンクからどうぞ。
わたてんの女児性に隠された歪な女と女の感情と三角関係
先ず、大前提としてわたてんは引きこもりがちな大学生の女の子が天使のような妹の友達・花に出会い、今まで感じたことのなかった「もにょっとした気持ち」を知るところから起承転結の起が始まるストーリーです。みゃー姉が誰よりも花ちゃんを可愛がる点は本作を紐解く上で重要に。引きこもりの癖して大胆なボディしていて許せないですね、みゃー姉。好きだ……。
当初は容姿と声優つながりもあり、幸福な世界線に飛んだアカネちゃん扱いでした。そういった見方をすると幸せそうすぎて泣けます。
基本的にわたてんはみゃー姉を中心としたハーレムモノです。実は百合作品であることとして別に、ダメ主人公の隠れた才能や優しさに美少女たちが惹かれていくハーレム美少女アニメの文脈が強いのです。ハーレム主人公がスカしたイケメン風高校生でなくワガママボディなガチオタコミュ障女子大生……どうです?
登場する全てのキャラクターがみゃー姉に好意を持っているからこそ成り立っている平和で笑顔に満ちた世界のお話です。が、そこでみゃー姉への好意の濃さの違いというコントラストが関係性のみに注目していく上での肝となります。
その辺りが前期で似たような設定で比較されるウザメイドとの違いですね。どちらが良いという話でなく。
「私に天使が舞い降りた!」は、幼女に異常な感情をぶつける女が主役なのに犯罪は特に犯してないから偉いな。ウザメイドは同様の環境ながら30分間全て犯罪行為しか映っていなかった
— に (@nyalra) January 8, 2019
回が進むと犯罪性の部分ではあまり変わらない気もします。
・ひなた
作中一みゃー姉への愛を惜しみなく表現しているのが実妹のひなた。百合姫らしくその姉妹愛の重力は迫力があり、みゃー姉が自分にかまってくれないと普段の明るさに反して即バッドに入るメンヘラの素質がある子です。その重々しさは妹のクラスメイトに手を出そうとしてるみゃー姉でも引くほど。ちゃんと、その後のケアを欠かさないのがみゃー姉のハーレムたる由縁。
この二人だけだと微笑ましい百合姉妹モノに。
・花
本作の前提に戻ると、タイトルにも繋がる、みゃー姉の元に舞い降りた天使……花ちゃんが姉妹の間に挟まりこんだ物語の起点です。
この膠も無いたいぷはてな先生好みのロリータポルノ爆弾は、みゃー姉側からの好意が最も高い存在です。作中キャラがどれだけみゃー姉を愛そうとも、みゃー姉は絶対に花ちゃん以上にその子を可愛いと認識することはありません。
当然、花ちゃんからみゃー姉を好きだと言ってしまえば作品のパワーバランスが崩壊するので、適切な距離感を保たれ続けるのですが、原作者である椋木ななつ先生の天才的な構成により、単行本では各巻のラストで花ちゃんのデレが入る仕様になっているので、読者は最後に「もにょっとした気持ち」を抱いて歓を尽くすのです。
が、ここまでではまだ無垢な女児たちとキモオタなお姉ちゃんのイチャコラに収束します。
・ノア
ここで全体の関係性を引っ掻き回す狂言回しポジションのキャラがノアちゃん。原作では1巻の後半と若干登場が遅いのですが、アニメでは1話の引きで違和感なく即登場させているので、動画工房の手腕が光る。ノアちゃんが居るかどうかで本編の空気は大きく変動します。それ程この子の愛情は重く、またその女児らしい体型に似合わないほど巨大な女の感情を持っているのです。
ノアちゃんの行動原理は「自分が可愛いと評価されるかどうか」を第一としており、小学生の頃からその価値観はどうなんだというツッコミはさておき、
クラスメイトかつお隣さんの星野家に足を運んだ際、そこで出会った身近な大人であるみゃー姉からの評価が自分より花にある事に電撃が走ってしまいました。
ノアちゃんの基準として、まだ精神的に成熟していない同級生よりも大人側であるみゃー姉からの評価を重く受け止めるきらいがあり、
女児たちに対しお世辞を言わず本能で即答する異常な大人との出会いは衝撃だったでしょう。ほぼ初登場ながら重い面をこれでもかと発揮。みゃー姉がなんだかんだノアちゃんも可愛いと思っている事もわかり矛を収めたものの、
度々みゃー姉に自分の可愛さを認めさせようと躍起になるように。
ノアちゃんの嫉妬心により、巧妙に隠れた顔の良い女たちの人間関係は加速。一見、のほほんとした日常美少女アニメだが、確かにわたてんは百合姫連載作品なのだ。
アニメ4話では遂にその様相を示し、小学生とは思えないほどに熟したノアちゃんの女性性が発動。この頃はすっかり女子から女の顔を垣間見せるように。僕は4話の水着シーンを発動篇と呼んでいます。
花ちゃんの水着姿に見惚れるみゃー姉。そこにノアちゃんが現れ「アタシの水着見て言うことないの?」とすかさず尋ねる。そんな女児いる?
ここから喧嘩稼業ばりの高度な心理戦が開始され、いつもと違って花ちゃんが一番だと言わないみゃー姉。そこを突いたノアちゃんは「それじゃあ今日はアタシが一番かわいい?」と攻めていく。
花ちゃんが一番だと正直に答えると拗ねると勘付いたみゃー姉が気を利かせて「ノアちゃんが一番可愛い」と返してあげたところ、すかさずみゃー姉の腕に絡みつきながら花ちゃんに対し大声で「ハナちゃんよりアタシの方がかわいいんだって!」と報告。
更に彼女の凄いところは、慌てるみゃー姉に「ウソついたでしょ?」「アタシ ウソでかわいいっていわれるのキライ」と責め立てる小悪魔感。これにはインターネットの面倒くさい百合オタクも太鼓判を押せるのではないでしょうか。
それでいて、簡単にひなたの率直さには簡単に堕ちる面もあるのですから、この女は凄い。アニメでは兄貴に絆されるペッシ状態になっています。
無邪気な女児たちの中に現れた確かな「女」。この一歩間違えたらシリアスに陥りそうな危うさが、多くのオタクたちがわたてんの重力に魂をひかれる理由の一旦でもあるでしょう。本当にそうか?(ブウ編の悟空)
https://twitter.com/nyalra/status/1090629295712526336
わたてん原作と更に面倒くさいノアちゃん
本編の話はこれまでにして、締めの話を。ちなみに今期アニメの別紹介記事も書きましたので、興味があれば一読ください。
さて、前述した通りわたてんは原作もまた絵柄がかわいらしいのは当然ながら、巻末には花ちゃんとみゃー姉の関係が進む回を持ってきたりと、アニメとは違う良さも詰まっていまして、5話時点では未アニメ化部分では、みゃー姉に扮してひなたを依存させようとして返り討ちになったりと、
更に深い展開に。この間のとり方と無言の感情表現が素晴らしい。自分は主にごちうさの影響で4コマ作品において無言のコマで演出する手法が大好きですので、出来得べくんば顔の良い女の感情がセリフでなく表情に詰まったコマを永久に見たい。
私に天使が舞い降りた!……100、いや∞点!!!
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