タイトルからヤバい低価格帯抜きゲの世界
■低価格帯の抜きゲー
えっちなゲーム業界は現在斜陽と言われています。正確に言えば数年前から言われ続けていますね。これには原因は諸説ありますが、面倒なのでここでは割愛します。
最近では有名メーカーはどんどんコンシューマーやアニメ業界に参入するのも珍しくなくなりました。だが、そんなえっちなゲーム業界の中でも、まだまだ活気のあるジャンルがあった! それが「シチュ特化型の低価格帯ゲーム」。
去年は売上ベスト3を抜きゲジャンルで埋まった月などもあります。今や中高生向け(18歳未満がプレイできないゲームで中高生向けは矛盾しているのですが)のキャラゲーが話題の主になった時代で、これは大きな快挙。2位の「恥辱の制服」などはハード寄りな内容かつフルプライスでこの売上は凄いですね。
がっぷ獅子丸の「ゲーム業界のフシギ」に収録されている、ゲイ向けのエポック・メイキングとなった「炎多留」シリーズの開発者インタビューでは、「8,000本」で中々の売上とされています。予想以上にゲイ向けショップからの発注が殺到したらしい。
この時代はまだ完全にゲイのみに向けたゲームなど存在せず、いくら売れるか全く不明なまま製作された大博打でした。需要がどれだけあるのか読み切れない。が、必ずこの未知の性癖を欲しているユーザーは居る。ユーザー側も自分がそのシチュに試されている。メーカーとユーザーの信頼関係で成り立っているのが一つの性癖に特化した抜きゲジャンルの魅力ですね。因みにこの作品を生み出した小野能久さんはゲイではないそうです。
そんな抜きゲ業界が時代に右往左往されながら辿り着いた先、それが一つの性癖をテーマに「タイトルのインパクトで勝負した低価格帯抜きゲ」なのです。
抜きゲは兎に角インパクト勝負です。タイトルやら特異なジャンルで話題になればそれで勝利。ブランド力や人気絵師にあやかっているようでは生き残れません。今回はそんな「低価格帯抜きゲ」を主に紹介させて頂きます。
■男の娘ゲーで見るインパクトのあるタイトルとは
タイトルで強い第一印象を残す手法として、「やたらと長いタイトルをつける」長文タイトルを活かしたマーケティングがライトノベル業界では一足早く主流となりました。タイトルの時点であらすじをある程度説明することにより、そのジャンルを好む読者へのアピールとなります。
抜きゲの方だと、どういう性癖に特化しているかをタイトルで説明するパターンが主です。例えば「タイトルの長さとインパクト」でオタク界に強い印象を与えた作品に、2003年発売の「恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの」が挙げられます。
これはもう説明不要の力強い衝撃がありますが、タイトルのみで「妹モノ」であることや、更に「その妹がH」な事、「兄とのイチャラブがメイン」な事が十二分に伝わってきますね。実は妹の中に一人男の娘が居まして、まだ男の娘がオタク業界に膾炙していない時代でしたので、その所為で良くも悪くも更なる話題を呼びました。
今では男の娘モノはユーザーからの市民権を得ましたので、優先してヒロインの一つに入れられる属性になった程です。そんな氾濫した男の娘ゲーは修羅の国ですから、まずユーザーから注目して貰えるよう、話題性のあるタイトルへの執念が顕著なジャンルとなっています。
最近の男の娘(女装)ゲーで個人的に衝撃を感じたタイトルを選ぶなら、真っ先に「女装してお嬢様学校に潜入しようとしたら、間違えて隣の底辺男子校に入ってしまったボク」を挙げます。
後ろのニヤニヤした竿役たちが最高ですね。底辺という割にニヤついてる以外はまともそうなのもポイント高し。
これもタイトルだけで本編のシチュエーションを全て説明している例です。正確に言えば「説明されているが理解できない」例ですね。「間違えて」って何やねん。一歩間違えたら今絶好調の「つり乙」シリーズもこうなった可能性があります。
因みにこういうゲームの竿役は、基本的に押し倒した際に男の娘という事実を知っても、「挿れる穴に加えて棒まであってラッキー」程度にしか受け止めません。こういう理解のある竿役だらけなら世界から偏見や差別がなくなるかも知れませんね。
DLsite:女装してお嬢様学校に潜入しようとしたら、間違えて隣の底辺男子校に入ってしまったボク
※追記
8月に「女装して女湯に潜入しようとしたら、間違えて入った男湯がハッテン場だった件」という、続編が出ました。間違えすぎです。
他に話題になったタイトルに「女装学園(妊)」があります。
こちらは逆に短く伝えたい事だけを抜き取ったキャッチーなネーミングですね。抜きゲ業界では「男の娘」だって妊娠できるという知見を得れます。
「女装学園」のみでしたら埋もれていたでしょうが、そこに「(妊)」を加える事で一気に男の娘フリークから白羽の矢が立つ作品となりました。
勿論本編では男の娘が妊娠します。タイトルに偽りなし。
「女装ギャルビッチ学園」も、シンプルながらパワーを感じるタイトル。性癖は基本的に足し算なことを実感できます。
※追記
好評だったようで、続編も発売されていました。「女装ギャルビッチ学園~ハーフ娘ジュディの誘惑~」です。
「男はやっぱり大きなおっぱいが好きでしょ? 同じ男だから分かるよ♪」とのこと。
■シンプルに攻めるタイトル
抜きゲがタイトル勝負な事は大体理解して貰えたと思います。次は、スパっと短く勝負してきた最近の良タイトルを紹介していきます。(大体半年以内を基準にね)
・「お前のママをシェアしようぜ」
サブタイトルもありますが、それを抜きにしても直球かつ印象に遺るタイトル。今月末に発売です。「ママをシェア」って下品な発想が脳に強い衝撃を与えてくれます。実際に声に出して読み上げてみてください「ママをシェア」。
DLsite:お前のママをシェアしようぜ~息子へのいじめっ子達に堕される美母~
・「黒髪清楚ちゃん物語」
パッケージがどこ切り取ってもはてなに削除されそうなので、仕方なくヒロインの紹介欄だけ持ってきました。正確なタイトルは「黒髪清楚ちゃん物語-彼氏じゃない人でイキ狂ってえっち大好きになってしまう女子校生-」。
これは「黒髪清楚ちゃん物語」の部分だけ見ると、ユーザー側の想像力を働かせる挑戦的なタイトルです。最近では清楚の代名詞だった「黒髪ロング」が逆にビッチという言説も広まり、「黒髪=処女の大和撫子」という使い古されたイメージから脱却し始めています。その辺りのミームに委ねたグッド・ネーミング。
ヒロインの説明にある「ふと湧いた『他の人とのセックスはどうなんだろう?』という好奇心」の部分が寄生獣の冒頭っぽくて好きです。あと「あゆみちゃん物語」っぽいタイトルが……。
DLsite:黒髪清楚ちゃん物語 ―彼氏じゃない人でイキ狂ってえっち大好きになってしまう女子校生―
・お兄ちゃん!! 射精の管理は妹に任せて!!
これまた分かりやすく力強いタイトル。妹モノにはこういった傾向が多い気がします。ジャンルも「妹に射精管理されちゃうADV」と非情に分かりやすい。猿でもこれから甘々な妹に射精管理される事が理解できます。
過去には「お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!」なる作品もあったのですが、更に直球になりました。(何故かこの作品には抜きゲには珍しくWikipediaに記事があります
お兄ちゃん、右手の使用を禁止します! - Wikipedia)
・痴漢王~淫欲の解放者~
痴漢モノは「最終痴漢電車」や「痴漢者トーマス」など、曲者揃いなタイトルが多い中、これまた「痴漢王」とシンプルながら意味不明でグッドなタイトル。続編は「真痴漢王」と、安易に強そうなワードを足していくセンスがデュエル・マスターズっぽくて素敵。
■理解不能! 発想勝負なタイトル
これはもう解説するより実際にタイトルを見てもらった方が早いです。
・「とある女戦士の集団面接 -女戦士としてオークやヒドラと戦った経験を御社で活かせると思い志望いたしました-」
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落ち着いてストーリーに触れていきましょう。
大手企業の集団面接にやってきたのは、かつて勇者と共に魔物と戦った「女戦士」だった。
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低価格帯の抜きゲ業界では、時折こういった不思議な現象が発生します。
DLsite:とある女戦士の集団面接 ~女戦士としてオークやヒドラと戦った経験を御社で活かせると思い志望いたしました~
・「麻呂の患者はガテン系3 完結編」
有名なelfからの作品なのでスルーしがちですが、よくよく読み返すと意味不明ですね。何ゆえ麻呂が主人公なのか。何故こんなタイトルで3まで続けられたのか。完結編って、お前はうる星やつらの劇場版か。遂にサイト閉鎖にまで追い込まれてしまったelfですが、後期の作品のタイトルはどれも出色の出来でした。
「ボクの彼女はガテン系/彼女がした事、僕がされた事/巨乳妻完全捕獲計画/ボクの妻がアイツに寝取られました。」など、ここまでで一つのタイトルです。個人的には「媚肉の香り~ネトリネトラレヤリヤラレ~」が一番センスを感じます。
あぁ、一つの時代を築いたelfソフトに追悼……。
■個人的にツボにハマったタイトル
飽き始めてきたので個人的に最近気に入ったタイトルを紹介していきます。
先月で一番好きだったのは、何と言っても「魔法少女が全裸で土下座~屈辱に濡れるごめんなさい~」。
「魔法少女が全裸で土下座!」というわかり易いタイトルも良いのですが、「屈辱に濡れるごめんなさい」というサブタイもグッド。
起動すると「許して~あげるわ~貴方の過ちを~♪ なんてことはないわウソよ♪」という歌詞が流れ始め、本作での謝罪への気合の入れようが伝わってきて好きです。
・教え子は魔法少女 ~ちなみに俺は教師で怪人~
これはサブタイで爆笑しました。教師で怪人って「ちなみに」で済まされていい問題ではない。
・オーク様と魔女
僕がオークモノに目がない事もありますが、それを差し引いてもこのタイトルはズルい。「本作の主人公のオークで」って一文から既に購入せざるを得ない。
ヒロインにしても「※この世界のエルフは基本淫乱多情な性質をもっている」という補足など、キャッチーで期待させる要素を押し出すセンスに溢れています。
・褐色団地へようこそ
「褐色」と「団地」という、本来結びつくことのない単語を掛け合わせる大胆さが光る一作。
「世はまさに褐色時代!! 国民的人気褐色アイドルグループ『NKB48(Natural Born Kassyoku 48)』の影響により『褐色』であることがステータスになった日本!」から始まるストーリー紹介も、豪快かつ効果的に興味を惹かれて最高です。
■最後に
最後に最近でもないのですが、どうしても紹介したかった作品を一つ。
・JKとオーク兵団
これはもうパッケージから発しているオーラが違います。優れた抜きゲーマーは「凝」を使って中身の質を見分けることができるのです。
「JK」の隣に、麗しい深窓の令嬢とは真逆の存在である「オーク兵団」を平然と並べるセンスは、流石老舗である「ブルーゲイル」さんです。どことなく劇場版ドラえもんっぽいですね。
ある日、地震と共に発生した謎の濃い霧が学園を覆う。
禍々しい雰囲気の霧の中から現われたのは、なんとオークの軍勢だった。
ハーブをキメてるよな荒唐無稽過ぎるあらすじも最高。他にも当時公式が用意した「オークさん」というアカウントの
男は泣いていい時が3つある。産まれた時、犬のウンコ踏んだ時、ブッカケ担当の時だ! #JKとオーク兵団
— オークさん (@bluegale_orc) 2013年2月24日
風邪ひくなよ!身体に気をつけろよ!じゃあの
— オークさん (@bluegale_orc) 2013年3月1日
これまた絶妙にシュールなツイートが(極一部に)話題になりました。RTするとリプライで話し掛けてきたのもツボでしたね。
DLsite:JKとオーク兵団 ~悪豚鬼に凌虐された聖女学園~
如何でしたでしょうか? 今回は大半を半年以内に発売した作品に絞ったのですが、勿論過去作にも未発売の作品にも沢山の魅力に溢れた作品があります。