いかに初代ToHeartのアニメがギャルゲーアニメとして完璧だったか
ToHeartハートフルパーティのサービス終了
1月末に、「ToHeartハートフルパーティ」のサービスが終了する告知が発表されました。
ハートフルパーティは、主にToHeart2のキャラを主軸に、描きおろしのレアカードを集めていく一般的なソーリャルゲームです。ソシャゲですので、ゲーム性はほぼ皆無であり、初代ToHeartにあったマルチに肩もみされるだけのオマケの方がまだゲームとして成り立ってます。
そんなハートフルパーティですが、一度はプレイしていた身としても、終了となると寂寥感を覚えます。
ハートフルパーティではToheart2のキャラだけではなく、初代からも多くのカードが登場し、WHITE ALBUM2とコラボもしていました。
初代ToHeartで企画・シナリオを担当した高橋龍也さんは、今では皆さんご存知の「アニメ アイドルマスターシンデレラガールズ」のシリーズ構成・脚本を担当し、大出世を果たしています。
高橋龍也といえば、「雫」時代から「えっちシーンにおいてロリキャラの秘部をふきふきする描写」を挿入することで有名です。
余談ですが、ToHeartの原画を担当し、常に高橋龍也とコンビを組んでいた水無月徹さんも、アニメ アイドルマスターに応援イラストを寄贈しており、アイマス上で数年ぶりにコンビとして登場し古参ファンの涙を誘いました。
閑話休題。そんな高橋龍也さんの作り出した功績の中でも、ギャルゲーの主人公像として理想的なキャラである浩之ちゃんの存在は大きいです。
浩之ちゃんは、基本的に不真面目な青年であり、朝もあかりが起こしにこなければ遅刻寸前だったりする無骨な人間ですが、嫌味のない女性への態度、やる時はやる(あかり談)、愛する人のためなら学生にして一千万貯めるひたむきさや純真さなど、ヒロインの恋人役として魅力的な要素がふんだんに詰め込まれており、嫌われガチなハーレムモノの主人公に置いて、トップクラスの人気を誇ります。
という訳で、今日は折角なのでToHeartハートフルパーティを惜しむということで、初代ToHeartの素晴らしさについて駄文を弄していきます。本当は、無職だからやることないので暇つぶしになるからですけど。
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美少女ゲームのアニメ化
さて、そんなToHeartといえば何と言っても、メインヒロインである幼馴染キャラの「神岸あかり」ですね。知らない人は「あかり」で画像検索してみてください。「ゆるゆり」のキャプがたくさんヒットすると思われます。
ゲームにおける神岸あかりは、ヒロインの攻略難易度が高い90年代のギャルゲーにおいて、輪をかけて面倒くさいキャラになっています。
他に攻略難易度が高いキャラとして、「ONE」の「長森瑞佳」がいますが、彼女のルートに入るには、わざと彼女に嫌がらせする選択肢を選び続け、終いには同級生の男子に彼女をレイプ未遂までさせる必要があったりと、ユーザーの心をこれでもかと抉る内容。
ToHeartの話に戻ります。神岸あかりの攻略には、長森瑞佳とはまた違う方向性の面倒な手順があり、他のヒロインも攻略しながら進めることで、あかりに「自分は浩之ちゃんが好き」という恋心に気づかせる必要があります。なんて面倒な女なんだ……。
しかし、そんな部分もまた彼女の魅力。淡く抱いた恋心に段々と火がつき、最終的に浩之ちゃんの家に泊まりに来るイベントは、幼馴染キャラに置いて最高峰レベルのイチャイチャ具合です。
そして、何と言っても外せないあかりの魅力は、彼女にだけキスシーンが用意されてことなんですね。ヒロインの特権です。他のキャラでは敢えて描かなかったのがニクい演出になっています。
2の主人公であるタカ坊は、そんな初代の葛藤などは気にせずヒロインと好き放題やりまくりでした。
では、そんな神岸あかりの魅力を踏まえて、アニメ版ToHeartの完成された美しさに触れていきます。
一般的にギャルゲ・アダルトゲーム原作のアニメは失敗する風潮がありますね。色んなヒロインの話に触れつつ、一人のヒロインをメインに持ってくるかはアニメで描くにはどうも尺が足りません。
更にアダルトゲーム原作のアニメでは、キャラ人気によって主人公と誰を結びつけるか変化したり、明らかに不必要なオリジナルキャラが登場したりで、ファンの怒りを買ったりもします。
アダルトゲーム原作の失敗作アニメといえば、作画の乱れが多かった「夜明け前より瑠璃色な」や、根本的にファンとのズレが生じた「つよきす Cool×Sweet」などが有名ですが、個人的に「下級生2」のアニメも安っぽいお色気シーンや間延びなど含めて、かなり視聴に耐え難い作品となっているので、是非バンダイチャンネルで一話を視聴してみてください。真の苦行とは何か、有意義な時間の使い方とは、と色々と考えさせられる内容になっております。
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アニメToHeart
さて、そんな魔境と言われるアダルトゲーム原作アニメ界隈で、始祖ともいえるToHeartの方はといいますと、メインヒロインである神岸あかりと浩之ちゃんの関係を主軸に話が展開します。
このアニメの魅力の一つにノスタルジックな空気感があり、下記の画像の通りなんとセル画です。時代ですね。
このセル画の発色が如何とも形容し難い良さを発揮しており、髪が真っ赤なあかりや緑のマルチなど、デジタルならどうしても違和感がでてしまう髪色でも、自然に風景と溶け込んでいるように映るんです。背景美術の丁寧さも光りますね。
先ずは記念すべき第一話ですが、なんと、ToHeart1話「新しい朝」は席替えするだけで終わります。
このアニメToHeartでは、日常の一部分を切り取った映像というコンセプトで描かれているとはいえ、席替えしてあかりが浩之ちゃんの隣の席になってヤッター! で終わる構成に驚きを隠せません。
通常の1話と言えばそれとないキャラ紹介や、客を掴むための安易なエロなどが思いつきますが、ToHeartでは全編通してお色気シーンは存在しません。あくまで高校生活の日常感を重視する、字面だけですと退屈に思えるかもですが、このアニメ特有の空気が感じ取れる良い回です。
因みにこのアニメでは、その回のメインを務めるヒロインのBGMがアイキャッチに使われるのですが、唯一メイン回のないレミィは全く関係ないこの一話で使われます。南無。
その上、原作では、外人のくせに難しい四文字熟語を並べるキャラだったが、アニメでは出番がないばかりか、日本語の用法をよく間違えるという、ありふれたキャラになりました。かなしい。
2話~5話は浩之ちゃんが他ヒロインと仲良くなっていくお話です。これまた原作のストーリーを踏襲しつつ、オリジナル展開でのヒロインの魅力が一話に詰め込まれてファン歓喜なのですが、割愛します。面倒くさいので。
5話の運動会回では、最後に浩之ちゃんとあかりがフォークダンスを踊り、仄かにあかりが恋心を抱いている描写があります。初々しいですね。
6話ではヒロインの一人と浩之ちゃんがデートしている光景をあかりが発見してしまい、嫉妬心に近い感情が垣間見えてきます。因みにこのヒロインは、PC版ではたまごっち欲しさに浩之ちゃんに処女を捧げたりします。無理やりえっちシーンを挿入するとこうなる。
7話は、シナリオの雰囲気が「雫」「痕」などの狂気ゲーに近い、超能力少女琴音ちゃんの話なのですが、面倒くさいので飛ばします。琴音ちゃんと言えば蛸壺屋ですね。
さて、続く8話がこのアニメでとても重要な意味を締める回であり、自分が最も気に入っている話でもあります。
あらすじは「勉強会のためあかりの部屋に浩之ちゃんが来るが、他の参加者が風邪でドタキャンし二人きりになる」という、原作ならここでセックス的な回なのですが、勿論アニメでは一切お色気シーンなどの媚び要素ありません。パンチラやお風呂シーンもないです。その健全ぶりはキッズアニメより健全な気すらする程。
さて、二人きりの勉強会は淡々と進んでいくのですが(普通のアニメならえっちなハプニングや会話が盛り上がったりするのだが、本当に勉強し始めるのがスゴい)、途中で想い出話を始め、あかりがクマのぬいぐるみにハマったわけが「幼少期に浩之ちゃんにプレゼントされたから」という重いカミングアウトを始めます。しかし、ここはそんな幼馴染の浩之ちゃん、「覚えてない」と軽くスルーです。メンヘラ女にモテるタイプですね。
ここらで、本来参加するはずだった友達から邪魔の電話が入り、「二人きりの状況は危ない」と性の匂いを感じさせる会話が始まります。が、この二人はとことん健全なので、気にせず想い出話に戻ります。強い。
本編で最も過激な性的シーン
ここで用意したアルバムの写真内のあかりは、全ておさげ髪だったことに気づきます。
「なんで髪切ったのか」と尋ねる浩之ちゃん。「浩之ちゃんがおさげに飽きたって言うからだよ」と平然と答えるあかり。勿論浩之ちゃんは「そうだっけ」程度でスルーします。強い。「浩之ちゃんとのことは全部覚えてるよ」と大胆告白も無言でスルー。強キャラすぎる。
そして一段落ついたところで、また勉強を再開します。
その後あかりの用意した夕飯をご馳走になるシーンに移るのですが、使い終わった食器を洗ったり、机を片付けたりなど日常的な描写が入り、このような細かい一つ一つのシーンが他にない生活感を演出します。
最後は二人で夜道を歩きエンディングです。肩を並べて歩く二人の姿は、幼馴染の関係を越えた恋人状態ですが、お互い口には出さない距離感が堪りません。
以降、9話からはまた他のヒロインに触れる話が続くのですが、この回を見た後だと、「他の女なんかに浩之ちゃんが靡くわけない」と余裕が見える気もします。困ってる女性を見過ごせない浩之ちゃんも好きだ、という葛藤もあったりなかったり。
10話、11話はマルチの話なのですが、省きます。人気キャラだけあって、後半に余裕の登場。他と違って2話分メイン回持っていくのも貫禄があります。
そして、遂にラスト2話となる12、13話なのですが、12話ではあかりの親友である志保が浩之ちゃんへの恋心に気づき、急接近するあらすじとなっています。
休日に押しかけてきた志保と二人で買い物へ行った浩之ちゃんの話に、複雑な表情を見せつつ「そうなんだ」と返事するあかりにドキドキです。
待ちに待った13話。最終回です。あかりと志保の微妙な距離感のままクリスマスパーティーが企画されるのですが、前日に風邪を引いてしまったあかりは出席できそうにありません。
そこで、お見舞いへと向かう志保。いけしゃあしゃあと「具合どう?」など話しかけます。
「明日これそう?」「うーん、どうかな。わかんない……」「「……」」
互いに思い詰めた顔でだんまりを決め込む。しかし、ここで沈黙を破ったのはあかりだった。
「ねぇ、志保……。浩之ちゃんのこと、好き?」
突然核心に迫るあかり。これがメインヒロインであり幼馴染でもあるあかりの強さなんですね。数秒の沈黙の後アイキャッチに入るのですが、アイキャッチ後にまた同じセリフが入るので、DVDで観ると聴こえてないから2回言った感じになりシュールです。
「そんなことあるわけないじゃない!」と誤魔化す志保。「私はすきだよ、浩之ちゃんのこと」と追い打ちを掛けるあかり。
「口にして言わなかったのは何だかズルい気がしかたら」と、志保が遠慮しないように配慮した上での発言だったことを明かすあかり。志保の気持ちをちゃんと言って欲しいと続けるが、志保は「本当にあんな奴なんでもない」と茶化す。
短いやり取りで仲直りをした二人。志保が帰って独りになったベッドで浩之ちゃんとの想い出の写真を眺めるあかりと、「アンタらしいね」とあかりの家を外から眺めつぶやく志保の対比が青春の1ページを彩ります。
そしてクリスマスパーティー当日、結局あかりは風邪で欠席の電話を幹事の志保に掛けるのですが、勇気を出して「パーティ行ってもいいかな?」と本音を吐露します。それを聞いてた浩之ちゃん。一目散にパーティ会場を飛び出し、あかりを迎えに行きます。いつもの二人に安心しつつも、どこか哀しげにも見える志保。この時点で涙で画面が見えません。
家近くの坂で迎えに来た浩之ちゃんを見つけて満面の笑みを浮かべるあかり。そのままノータイムでメリークリスマスと手編みのマフラーを自身の手で浩之ちゃんの首に巻いてあげます。ここでサンキューしか言わない浩之ちゃんがまた良いよね……。
降り始めて雪のせいで冷えてしまい、クシャミをしてしまうあかり。
サッと自分の上着を掛ける浩之ちゃん。
この時の会話は本当に最高以外の表現が見つからないのですが、文字に起こすと野暮になるので、自身の目で確かめましょう。
ラストは浩之ちゃんに身体を預け身を寄せ合う二人で終わり。素晴らしい、パーフェクトですね。
特筆すべき点は、何と言っても親切丁寧に描写された二人の関係なんですよね。ラストも熱烈なキスや抱擁があるわけではない。告白し関係が変わったわけでもない。しかし、確かに二人の絆は何よりも硬いと伝わってくる。和姦で射精できない僕も手放しで大絶賛です。
・おわりに
という訳でアニメ版ToHeartの話でした。
この記事は2015年に書かれた記事ですが、20周年の2017年を機に全体的に書き直しました。
最近はすっかりアクアプラスの呼称になったLeafはダントラなどで好調そうですね。今後も1ファンとして見守っていきたいです。
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