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今だからこそ振り返る アニメ「けものフレンズ」初期~大流行までのながれ



けものフレンズ

 先日、けものフレンズ2PV第一弾が満を持して公開されました。

 今更ですので詳細は割愛致しますが、低評価が高評価の約10倍。

 前作けものフレンズPV第一弾の割合が高評価が低評価の約50倍ですから、2に対しての荒れ模様が窺えます。良くも悪くもけものフレンズの視聴者層がインターネット全体に広がったのを感じますね。どちらにせよオタクは出来によってすぐ掌返す生物ですので、放送後にどういう評価に落ち着くか今から楽しみです。

 

 それこそ初期の評価から180度扱いが変わった作品がけものフレンズでした。

 恥ずかしながらアプリ版の時代から触れてはいませんので、最初期の話はできませんが、アニメけものフレンズに放送直後から注目していた人間の一人として、今回はアニメけものフレンズ初期のインターネット界を振り返っていきましょう。

 具体的にどれが要因でどう広まったかを数値などで解説しているブログは氾濫しているので、本記事ではあくまで一オタクから見た初期の空気感をメインに書いていきます。特に擁護や啓蒙とかでなく思い出語りに近い感じで読んでいただけたらと。

 有り体に言えば古参アピールです。

 

アニメ「けものフレンズ」1話

 けものフレンズ1話放送日が2017年1月11日。ニコニコ動画への投稿日が1月14日です。放送前のPVのみでの評判としては5分アニメと勘違いしているオタクが大多数でした。この頃は誰もがここまでヒットすると予想できません。

 グッズやDVD供給が明らかに遅れていた事から、当然製作側もこの人気は一切考慮しておらず、当初は映像ソフトまで追ってくれる一部のファン向けとして最早ソフトがオマケなガイドブックメインの販売に。その拘りようから生産が遅れてしまった上に、飛ぶように売れたわりに利益があまりなかったりします。

 

 閑話休題。そして運命の第一話放送日。前情報や広告も少なく、放送時間も深夜であることから初期の視聴者層は常に深夜アニメを追っているオタクたち。いわゆる実況民など。

 1話放送中の感想としては、矢張り「これ30分アニメなの!?」という驚愕が入る人間が多く、放送後も「なぜアニメになったのかわからない」と怪作扱いが殆ど。今でこそ見慣れてしまいましたが、当時はサーバルちゃんの異様な寄り目に戸惑う方々が散見されました。

 が、親しみの湧くモチーフを丁寧に擬人化したフレンズたち、温かみ溢れる独特の雰囲気を掴み取り、「絶対に売れないが自分は応援する」と主張するオタクもチラホラ登場。日常アニメなど緩い作品をゆったりと愛するオタクたちからは高評価も。

 

 そして14日ニコニコでの投稿。「異常なアニメが始まった」と一部の先駆者たちがごく僅かに騒いだおかげもあり、再生数は他同クールアニメ1話よりも良好。

 まだ楽しみ方や空気感が確立していなかったこともあり、地上波放送では一度リタイアした層も、コメント付きでツッコみながら視聴できるように。個性の強いサーバルボイス、ちょくちょくミスがある小物の作画、謎の色調補正、ありがちだが王道で優し溢れるストーリー、和気藹々としたOP、そしてなにより実写と飼育員の解説を取り入れた斬新なアイキャッチなど、コメントの反応の途切れることがない1話はニコニコ動画との相性抜群。

 それでも現在の知名度から考えれば1割に満ちませんが、確かに特定のオタクたちにけものフレンズの名は知れ渡りました。その全く読めないストーリー展開から、2話を心から楽しみにするオタクも少なくありません。

 

 はてな界隈では、お馴染み骨しゃぶりさんが「アニメ『けものフレンズ』は人類史600万年を探求する」を投稿。独特の視点からいち早くけもフレ考察を行った内容は、ある意味最初にアニメけもフレの革新に触れた記事といえるかも知れません。間違いなくアーリーアダプターの一人です。

 

 段々と普通でない流行の兆しを見せてきたけもフレは、アプリ時代の古参ファンによるアプリ版設定解説や、そもそも宣伝すべきアプリが放送前から終了しているという前代未聞の事実が共有されだし界隈を沸かせました。

 総合すると1話時点では「ツッコみながら愛すべきアニメ」という見方が多数を占めています。

アニメ「けものフレンズ」2話

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 そして一部のオタクたちが熱狂している中、遂に2話「じゃんぐるちほー」が放送。注目度が高まり、1話で楽しみ方を知り始めたオタクたちのみが集まったこの回の盛り上がりぶりは今でも忘れられません。

 けもフレブームを決定づけたのはなんと言っても2話に登場したコツメカワウソちゃん。同人誌だと無知シチュでやたら老人と絡まされる子です。見方によってはサーバルちゃん以上に作品の流行に貢献したと言っても過言ではない。

 このコツメカワウソちゃん、作中の何も考えていないフレンズの中でも、輪をかけて何も考えておらず、一人で「わーい! たのしー!」と叫びながら、ジャングルの中で滑り台を延々と繰り返します。あまりの衝撃な映像に、視聴者たちもサーバルちゃんとシンクロし「すごーい! たのしそー!」としか声が出なくなる始末。

 彼女の影響で一気に「IQを無くして楽しむアニメ」という評判が膾炙。手前味噌になりますが、その経緯は2話時点での当ブログ記事を参照ください。

 

 当時書いた通り、コツメカワウソちゃんの影響は非常に強く、ツイッター実況・ニコニコ動画・匿名掲示板も「わーい! たのしー!」一色に。後にストーリー性の注目度が増し「けもフレをIQを0にして楽しむと認識しているオタクは浅い」と叱るオタクが台頭しますが、一周してアニメ版古参の可能性もあるので、どちらが正しいかは一概に言えません。

 

 思考停止し、ただただ「わーい! たのしー!」「すごーい! たのしそー!」と子供のように振る舞う楽しみは、現代社会に疲れたオタクたちにマッチ。またたく間にその様子が注目され、この時点でけもフレの人気は同クールアニメと比べてもかなりのものに。しかし、まだまだ一般層にはリーチしていませんでした。

 今こんなツイートしたらオタクから袋叩きでしょう。

 

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 後に大きく評価されるストーリー性や・構成部分も、本編の空気感と合わない意味深なEDから読み取る考察班も登場。楽しいだけでなくシリアスな要素も潜んでいるアニメとして伏線を拾っていくオタクたちも目立ってきます。

 総合すると「思考停止してたのしー! できる癒やしアニメ」として愛され始めます。1話の頃の出来の酷さを楽しむ風潮は一気に風化していく大逆転。改めて見直すと感動も多い1話の評判もうなぎ登りに。

 

アニメ「けものフレンズ」3話

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 けものフレンズの恐ろしいところは、序盤の3話で全く違う印象を与えてきて多くのオタクを虜にしてしまった点でして、1話2話のテンション高めで幼稚園のような雰囲気から一転し、単体でもシリアスな楽しみ回もできるように。

 

 仲間が欲しいトキと店を繁盛させたいアルパカの悩みを、人間の知恵を使った手法で解決し全員を幸せにしつつ、颯爽と去っていくかばんちゃんとサーバルというテンプレートが確立。まるでシティハンターのような構成から、EDをGetwildに差し替えた動画が流行。そのベストマッチっぷりが話題に。旅のラゴスを例えに出す声もしばしば。

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 

 

 トキとアルパカの両者ともに、個性ある声などツッコみどころも健在かつオタク受けと一般層受けを両立した逸脱なデザイン。どことなく漂う百合っぽい空気感。最も大事な徹底して優しい世界観が面白くない訳がなく、1・2話と違って純粋に完成度で評価され出します。ある程度オタクである一般層に届いた契機としては3話の貢献度は高い。

  当時の自分のツイート泣けますね。

 

 細かい感想はブログに書いていたり。かくいう僕も3話には非常に心打たれ、トキパカSSをカクヨムに投稿しコンテストに応募したりした程。当然、落選しましたが。

 

 

それ以降のけものフレンズとこれから 

 冒頭やツイート引用で書いた通り、けもフレはなぜヒットしたのか系のブログが大量に作られ、データ上では2月6日……4話放送後となっているそうですが、それも1~3の丁寧な構成。そして様々な楽しみ方をしつつも初期から追ったオタクたちの積み重ねがあったこそだよ。という事を、すっかり扱いが変化してきた今だからこそ振り返ってみたくなった訳でした。

 以上を踏まえて、「けものフレンズ2」に対し臨んでいきたい。

 

 因みに例の騒動で一番面白かった体験は、それこそ角川の編集とルノアールで打ち合わせ中に、別の席のオタクが「角川絶対許せねえ!」と叫ぶまくっていたことです。

 

・オマケ

 「わーい! たのしー!」以上に「○○のフレンズなんだね!」構文が流行し、本編で言ったの言ってないだのや、フレンズの解釈についての誤用が日夜議論されていく中に投下された西又先生のイラストが今でも大好きでして、

 

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 彗星の如く現れた西又先生の迫力に大興奮した瞬間を昨日のように思い出せます。誤解されがちですが、これは本当に皮肉とかでしたツイートでないです。心の底から西又先生が大好きなんですよ。それでは皆さん、けもフレ2が始まってもあなたの…フレンズにしてください♪

西又葵です。

西又葵です。