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富野監督による富野ファンへのアニメ Gのレコンギスタ 感想



■Gのレコンギスタ 

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 2015年3月28日、関西の方が一日早く放映なので正確には3月27日だが、富野監督によるガンダムシリーズ、「Gのレコンギスタ」(以下、Gレコ)がめでたく最終回を迎えた。

 富野監督のこれまでの作品における前例や、インタビューでの発言から、特に盛り上がる富野作品の最終回の中でも、Gレコもまた一筋縄ではいかないラストになることが容易に想像がついた。

 

 今回は監督本人含む製作スタッフ側がこれまでとは一線を画する最終回になると煽り立てていたのもあって、期待はどんどん膨らみ、放映日では緊張で他のアニメが一切頭に入ってこなかった程だ。

 いざ最終回が始まる。期待と予想通り、いや、それ以上に素晴らしい決着に涙を禁じ得なかった。きっとこの素晴らしい名作の前に、ネット全体も興奮の坩堝と化しているだろう。そう信じて疑わないような締めくくりをしてくれた。

 

 が、そうでもなかった。

 

 元からGレコ自体があの富野監督作品ということもあり、まとめブログなどでの荒れネタとして格好の的になっていたのだが、話が複雑なことや一見何を伝えたいのか理解し難いのも相まって、割りと否定的な意見も散見される。

 ここで昇っていた血が逆流し、もう一度最終回を観直したあたりで僕も冷静になった。

 このアニメ、もしかすると富野監督の大ファン以外にはおもしろくないのでは?

 思えば僕がGレコに引き込まれた一番の理由は、その有り余ってお釣りが来るほどの富野分によって作られているからだ。

 最低限の世界観の説明、チグハグで感情優先の会話、特徴的すぎるキャラクターに、素直にカッコイイとは表現しづらいMSたち。

 これらは全て僕にとってご褒美以外の何ものでもないのだが、一般の人間からすれば面倒くさい要素の塊である。

 その辺りの詳細はまだ中盤の頃に触れた記事、

 

nyalra.hatenablog.com

 を参照されたい。

 

 

■だいすき、富野監督!

 先述した記事でも述べたとおり、僕は「聖戦士ダンバイン」が大好きである。富野作品で一番好きなアニメを訊かれたら、自信を持って「∀ガン……いやキンゲも好きだし……あ~、やっぱダンバインっすわ」と答えるだろう。

 なにせ、僕の初恋と精通はダンバインのヒロインの一人である「シーラ・ラパーナ」だった。「BASTARD!!」 でも彼女が元ネタのシーラ姫が好きだった。いや、精通云々はウソですけどね。流石に、ダンバインで射精したことは数回しかない。シーラ・ラパーナ浄化を! ってそういう……。f:id:nyalra:20150328064342j:plain

左のシーラ様がスパロボ64時代。かわいい。右のサンライズ英雄譚2で今風になったシーラ様もいい……。

 

 閑話休題。そんな僕も、リアルタイムでテレビ放送される富野アニメを体験するのは恥ずかしながら初めてである。∀の頃は年齢が幼かった上に沖縄では放映していないし、キングゲイナーWOWOWなのでDVDを借りて試聴する他なかった。

 なので、必要以上に舞い上がって先行上映に何度も足を運んだり、ガノタの友達を「損はしないから上京してでも観に来い!」と地方から呼び寄せたりまでした。僕以上にドハマりして、その場で記念DVD買ってて怖かった。

 それ故に、Gレコ本編を手放しで絶賛したくなる気持ちもあった。Gレコをもっと観て欲しくてわざわざこのブログを開設してまで、先述の記事を投稿したまである。

 丁度、その記事を書いた頃が中盤の中弛みしているあたりであり、ロボットアニメに中弛みは付き物とは言え、Gレコでは勢力が右往左往するのも相まって不評な感想がチラホラ湧き始めた時期でもある。

 まとめブログでは、富野監督のインタビューから言葉尻を捉えて、「監督本人が駄作扱いしてるぞ」なんて低俗な曲解もされたのが記憶に新しい。俗物めっ!

 余談だが、この時期は「SHIROBAKO」がまとめブログなどでも絶賛されており、SHIROBAKO好きからも「Gレコのスタッフは云々で~」と酷評されているのを目にする度に、「イデポン回で皆が手を取り合って理解しあうことを教えられたんじゃなかったのか!」と言いたい気持ちを抑えていた。イデオンは最高。

 

 終盤からの巻き返しは、歴代のロボットアニメを支えてきただけはあり、ロボットアニメ好きから観ても文句なしの出来だっただろう。特に、戦闘シーンは毎回目を見張るモノがあった。

 けれど、詰め込み過ぎという意見もわかる。ガンダムを2クールで構成するのは、素人目から見ても難しいのは伝わってくる。

 最終回なんてどうだろう、戦闘が終わってから後日談が入るが、その間にどれだけの月日が流れたのかは、妊娠が発覚したキャラのお腹の膨れ具合のみで語られる。気を抜いて視聴しているとよくわからないレベル。このあたりの不親切さはF91の頃から変わらなかったりする。

 そういう意見に対して、富野監督も自覚してやったと答えており(意訳)、何度も観て貰いたいとも発言している。実際、Wikipedia内でのストーリー解説はかなり丁寧に纏められており、毎回ここをチェックしていれば状況把握は難なくできたりする。だったら、Wikipedia編集者に任せず毎回本編で説明があってもいいとは僕も思うが。

 

 

 

■Gレコ最終回での過去作のオマージュ

 さて、ではGレコ最終回の素晴らしかった点はどこか。それは何と言ってもファーストのオマージュがふんだんに使われた点だと僕は思っている。

 例えば、一番わかりやすかったのはズゴック

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 この場面では、ズゴックが登場することによって、戦場が元はジャブローであることを暗に示唆している。こういったファンサービスはやはり嬉しい。

 次に、ラストでベルリがノレドナグさんを置いて旅立つシーン。これも、ファーストでのフラウ・ボゥという幼馴染キャラの微妙な扱いがルーツとして感じられる。

 そして、矢張り一番感動したのが最終回タイトルである「大地に立つ」。言わずもがなあの機動戦士ガンダム第一話「ガンダム大地に立つ!!」を意識しているだろう。このタイトルの素晴らしさはそれだけではないのだが、それは後述する。

 ガンダムだけでなく、最終回全体の明るい雰囲気はキングゲイナーを彷彿させる。戦争の傷跡を振り返らない、登場人物たちの逞しさを見せつけることにより、今後もこのキャラたちが強く生きていくのが伝わって、観てる側も元気が湧いてくる。まさしく元気のG。

 ベルリが世界一周を目指して旅立つシーンも、キンゲラストのこれからも旅は続く締めとこじつけられなくもない。

 マスクとの最終決戦はダンバインの黒騎士戦と似た部分も多い。マスクが嫉妬のみでベルリに固執しているあたりが、怨念で力と狡猾さを手に入れた黒騎士ことバーン・バニングスと共通する。それでいて、マスクは最後にベルリとの確執を捨て救われたのだから、富野監督が「皆殺しの富野」の異名を捨て浄化され「白富野」に昇華したことを察することができる。不必要にキャラが死んでいったらここまで褒められてはなかっただろう。主人公が不殺に拘るテーマとも矛盾するしね。

 

 

■Gのレコンギスタで伝えたかったこと

 さて、Gレコは何となくで視聴していた人も多く、結局何がしたかったのか今一ピンと来ない人も少なく無いだろう。僕も、最終回後に富野監督のインタビューなどを漁ることで、ようやく個人的には理解した気になった。

 ぼんやり観ただけでは、途中で戦争が起きてそれをベルリが止めてハッピーエンドだ! という理解しか無い。仕方のないことだが、それはGレコを全話観てきたからにはあまりに惜しい。

 まず、先程述べた「途中で戦争が起きて」の部分を考えてみて欲しい。それが最も重要な部分なのだ。

 「エネルギーを巡った国家間の争い」、「宇宙に住む人間たちの地球移住」、「裏で暗躍していたクンパ大佐の存在」、「差別されてきたクンタラ」。それら一つ一つを考察し、戦争が何故起きたのか考える事がGのレコンギスタを観る上での命題であり、そして争いを止めようとしたベルリとGセルフの心情と活躍に想いを馳せることが重要なのだ。

 最終回でのベルリの人を殺さない宣言、「子供じゃないから」と降伏を認めたクン・スーン、それでも一騎打ちを行ってきたマスク。殺さないように返り討ちにしたベルリ。この一連の流れがBパートの僅かな時間に詰め込まれているのが素晴らしい。

 

 

 

■ルイン、クリム、そしてベルリの決着

 マスクことルインもベルリと相打ちになって浄化された。唐突に思えなくもないが、自分より常軌を逸した憎しみに呑まれたマニィを見て我に返ったのかも知れないし、ベルリと引き分けて満足したからかも知れない。そこは、各自の想像に委ねられるのだろう。争う理由さえなければ人は平穏を取り戻せることがルインとマニィのカップルで体現されている。なんとも小気味良い決着のつけ方でないか。

 本音を言えばただ幸せなカップルのままなのは悔しいので、もう少し不幸な目にあっても良かったが。

f:id:nyalra:20150328084710j:plainあきまん氏がTwitterでルインは死ぬよ的な事言ってたので当初は焦った。

 

 天才クリムはどうだ。その特異なキャラクター性で登場した段階から老若男女問わず人気がうなぎ登りだった彼は、中盤こそベルリに比べて一歩劣る印象を受けたモノの、ラストの戦闘では上手く部下のミックを制して立ち回り、見事ビーナス・グロゥブの連中を撃退する様は、まさに天才を自称するに恥じない貫禄。

 更に彼は、最後の最後で自分のためなら息子すら死んだことにする父親を戦艦で踏み潰す。

 確かに、大統領も戦争の火種になりえる人物だったので内容的にスッキリ終わるには何らかの処罰が必要だった。しかし、こんな大胆かつクリムの株を上げる死に様を用意するとは富野監督にしかできない発想だろう。思いついても実際にはやらないよ!実際には殺せてないらしいが。

 もう一人の争いの根源だったクンパ大佐はとばっちりで死んだ。傍観者気取った人間に相応しい死に様だ。

 なんだかんだ良き恋人ポジションになったミックと幸せにドンチャンやっていくのだろう。彼らに焦点を当てた後日談など欲しくなってしまう。

 

f:id:nyalra:20150328090046j:plain彼は最終回まで死にません的な発言があったので、最終回では死ぬのではとハラハラした。

 関係ないが髪下ろしたミックさんすごくかわいい。あと電流でビリビリ状態のときは少し昂奮してしまいましてね……。

 挑発的な態度や豊満な肉体といい、非情に富野作品の女性らしいエロティックさがあって、おまんこ舐めたい度高いキャラに仕上がってると思う。

f:id:nyalra:20150328090059j:plainかわいい~。

 

 そして何と言ってもベルリ。彼は最後に仲間を置いて一人旅立って行きます。艦を抜けだし置いて行かれた事を嘆くノレドナグさん。ガンダムヒロインで勝組な方が珍しいので仕方ない。しかし、いずれまた巡り合う展開を想像できる関係だった。彼女には幸せになって欲しい。

 一方、兄妹だと発覚するまではヒロインだったアイーダ姫様は、全てを吹っ切ったように元気。彼女に関しては富野監督が非処女だと思い込んでいたので不遇な扱いになったとか、Gアルケインが最後まで変形しなかったなど、色々とネタを提供してくれたのだが、最終的に立派な成長を遂げて愛されるキャラになったと思う。

 注目して貰いたいのが、ベルリが日本で会った人物。そう、富野監督をモチーフにしたキャラで声優も富野本人。ではなく、新人声優「井荻翼」。ダブルオーのアムロ蒼月昇と言い謎の大型新人声優、一体何者なんだ……!?

 富野監督が作詞をする際に「井荻麟」名義を使うことは周知の事実ですが、今回の「井荻翼」と合わせると「りんつばさ」、自身の監督したアニメ「リーンの翼」となる。

 ここが富野監督ファンが悦ぶ要素。しかし、富野監督はオーラバトラーとダジャレになってるネーミングがホント好きだな!

f:id:nyalra:20150328091110j:plain画像には映ってないが、この時代で新幹線が走っているのが何か良い。

 独りで世界一周のため各地を回るベルリ。タイトルである「大地に立つ」にガンダムがつかなかった理由は、自分の脚で大地に立ったのはベルリだからだ。エンディングテーマを聴きながら、その意味に気づいた時には目から鱗が落ちた。あぁ最後まで観てきて良かったな、と。

 突然、世界一周を実行するような冒険心もまたベルリらしい。彼が各地を旅する間に、またルインと会ったりクリムに助けられたりするかもしれない。駆け足で一見すると説明不足だが、順を追っていけば綺麗に締められたように感じられる。いい……。

 

 

 

 

富野監督による富野ファンへのアニメとしてのGのレコンギスタ

 富野作品のファンが「おぉっ!」となるファンサービスや小ネタは概ね語った。本編の感想も以上の通りとなる。

 ここからは、僕がGレコ視聴中に富野監督の発言を追っての感想となる。

 まぁ、色々と賛否両論であったり、一概に褒められる点ばかりではない本作だが、僕は何より七十越えた富野監督の手腕が健在であり、何より元気な姿が何度も見られたことが嬉しいのだ。

 「批判は受け入れる」、「詰め込み過ぎた」、「演出はちょっと間違えた」など富野監督らしいネガティブな自己分析もあったり、「140%やりたいことを詰め込めた」など自画自賛してみたりと発言を追いかけるだけで僕は嬉しかった。あぁ、今まで観てきたロボットアニメを作った人物の作品をみんなと一から共有できたのだな、と。

 だからこそ、ネット上のあらゆる評判にも目を通した。とにかく、富野作品でみんなが一喜一憂するのが好きで仕方なかった。

 

 以下のインタビュー画像は全て、富野総監督とキャラクターに聞く67のQ&A(AJ2015) [ 日々ガンダム ]からの転載です。

 

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 まとめブログは、こういう真っ当な回答を取り上げろや!と憤りも感じますが、憎しみに呑まれてはいけないので声高には言いません。

 

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 これには、なるほどと頷かされました。

 

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 「何でいていけないのよ」って出だしがオカマっぽくて良い。

 

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 熱い自画自賛。

 

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 矢張りこの回答が一番嬉しかったですね。Gレコを通して、富野監督のアニメーションに対してのやる気と誠意が感じられる。小説でも新作アニメでも良いので、今後も歳を忘れてどんどん活躍していって欲しい。

 

 長くなったが、一般的に受け入れがたい作品でも、個人的にはGレコは名作なのだ。要約してしまうと、ただそれが言いたいだけだったかも知れない。

 どうでもいいが、ベルリとアイーダの兄妹設定が発覚するまでの間に描かれた同人誌で性行為する二人を見ると背徳的な気分になるね。だがそれがいい。Gレコと違ってこの記事はどうにも締まらない終わりになってしまった。

 

 

 

  因みに「富野に訊け!!」で一番好きな質問は、「大学へ進学しないとクリエイティブな職に就けないのか」訊いた「岩手県 フリーダム&ジャスティス(19)」さん。

富野に訊け!! アニメージュ文庫
 

 

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